(画像)Cast Of Thousands/Shutterstock
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プロ野球・二軍新規参入の3球団に異変!? 選考差し戻しや本命・静岡の落選情報も…

プロ野球の発展と野球振興を目的とする二軍の新規参入が風雲急だ。一軍を持たない二軍のみで球団を想定し、5月に公募が始まり7月末で締め切られたが、日米を代表する伝統球団に後押しされるかたちで〝代理戦争〟が勃発。球界にも飛び火する…?


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来季からプロ野球の二軍の公式戦に参入する球団の公募が7月31日に締め切られ、「静岡」、「新潟」、「栃木」の3団体が申請した。9月中に内定する運びだが、これまで本命とみられてきた「静岡落選」の怪情報が流れている。背後で「巨人vsMLB・ヤンキース」代理戦争が…?


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「さすがの巨人の威光も、ヤンキース・オーナーには通じない。今回の静岡市の申請は、差し戻しの公算が大きい」


静岡市のプロ野球球団設立に力を注いできた自民党の国会議員秘書が、3県の団体で「2議席」を争う今回の〝選挙戦〟をこのように分析した。


下馬評は、以下の通り。


本命=静岡市を本拠地とする球団設立を目指す「ハヤテ223(ふじさん)」


対抗=独立リーグ、BCリーグの「新潟アルビレックス」


穴=同BCリーグ、栃木ゴールデンブレーブスを運営する人材派遣会社「エイジェック」


ところが、本命と目されてきたハヤテ223の参入が微妙になっているという。


「静岡が当確とみられたのは、巨人が新球団の母体となる金融投資会社『ハヤテグループ(東京都中央区)』をバックアップしていたから。球界の〝盟主〟の根回しで市県とも地域活性化に向けた連携協定を結び、『よほどのこと』がない限り落選はないと。それが、にわかに雲行きが怪しく…予断を許さない状況です」(静岡の地元局記者)

静岡と浜松のダブル当選はない…

NPBは現在、申請があった3団体を対象にヒアリング、環境視察などの2次審査を行っている。9月4日の実行委員会で内定を出し、同29日のオーナー会議に報告。11月22日のオーナー会議で承認する予定だが、選考は混沌としている。「よほどのこと」が起きたからだ。


静岡市(人口69.3万人、2020年)と同県浜松市(同79.1万人、同)の団体が、8月末が締め切りとなる2025年からの参戦に、松山(愛媛県)や熊本、沖縄の団体とともに応募準備を進めているのだ。


新規参入には12球団の本拠地以外の府県という原則があり、静岡と浜松のダブル当選はあり得ないのだ。


「その前提に立つと、浜松の応募を審査する前に静岡を承認しては、公正さが担保できない。そこで、今回は差し戻し、両団体を合わせて来年一括審査の案が浮上している」(スポーツ紙デスク)


その浜松市を本拠に球団設立準備を主導しているのが、MLBヤンキースのオーナーの1人、南壮一郎氏だ。管理職に特化した人材サービス転職サイト「ビズリーチ」の創業者で、南氏は同社の親会社の代表取締役会長。個人資産だけで2000億円超といわれる実業家だ。大阪生まれだが、父親がヤマハ発動機の出身で、幼少期を磐田市(静岡県)とカナダ・トロントで過ごし、帰国後は浜松北高から米・マサチューセッツ州のタフツ大学に進学し、卒業後はモルガン・スタンレー証券東京支社に入社。三木谷浩史楽天グループ会長とも親しく、2004年には楽天球団の創業メンバーに名を連ねている。


今年4月にはヤンキース・オーナーのスタインブレナー家を訪ね、直接交渉で同チームの球団株式の一部を取得。オーナーグループの一員になり、球界でも注目を集めた。


「親会社の携帯事業の巨額赤字で楽天球団買収のウワサもあるが、南氏が目指すのは、スタインブレナー父子のような私人としての球団経営。自社の傘下に置くことは考えていない。ヤンキースの株式を取得したのも、球団経営のノウハウを学ぶのが狙いで、故郷の浜松に球団を作り、ヤンキースの若手選手を獲得して大きく育てたいと。そこが他陣営との違い」(浜松市の財界首脳)

セ・パ“16団構想”にも影響が…

実は南氏も24年からの参入を目指し、説明会に出席していた。当初は静岡との連携も模索したが、静岡の駿河と浜松の遠江は古来よりライバル。一本化は難しいと考え、撤退した。


しかし、プロ野球の二軍の構成はイースタン・リーグ7球団、ウエスタン・リーグ5球団。静岡、新潟、栃木のいずれもがイ・リーグ加盟を希望していることから、球界から名古屋経済圏の浜松に参入を期待する声が上がり、球界参入計画が再燃したという。


静岡が本拠地とする清水庵原球場の収容人数は1万人。対して浜松球場は築70年とはいえ2万6000人。ベイエリアの遠州灘海浜公園にドーム型新球場建設の計画も進んでいる。


浜松市と隣接する磐田市にはホンダ、ヤマハ、スズキなどの自動車、河合、ヤマハ、ローランドなどの楽器産業が工場を構え、球団誕生へ期待は大きい。その多くが今回、静岡市が選定されるか、気を揉んでいる。


球団拡張を進めるNPBは、24年と25年に二軍限定の球団を2つずつ増やし、将来的に「セ・パ16球団」の青写真を描く。この構想はJR東海が着工中のリニア中央新幹線開業のスケジュールと重なる。


「国とJR東海は早期開業のため、川勝平太知事が求める静岡駅の『のぞみ』停車、あるいは浜松市に近い静岡空港の地下に新幹線新駅新設――を検討中です。この件も静岡、浜松の新規球団設立に影響しています。NPBは両市のダブルフランチャイズを落とし所と考えていますが、それが進まないのはこのリニア対策のため」(全国紙の県政担当)


直近の情勢では、2024年からの参入は新潟が当確。噛ませ犬と思われた栃木が静岡の〝内紛〟でタナボタ当選が濃厚に…。


新球団誕生が1年遅れとなっても、静岡もしくは浜松が承認され、残念な結果だけは免れてほしいものである。