蝶野正洋 (C)週刊実話Web
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

蝶野正洋『黒の履歴書』~“ビッグモーター”の不正請求問題

大手中古車販売会社『ビッグモーター』が、さまざまな不正を行っていたことが大きな問題になっている。お客さんから預かった車を意図的に壊して、その修理費を保険会社に水増し請求するなど、その手口はかなり悪質だね。


【関連】蝶野正洋『黒の履歴書』~令和に続く『闘魂三銃士』 ほか

ビッグモーター側は問題が発覚してからしばらく沈黙していたんだけど、ようやく記者会見を開いて、社長が責任を取って辞任することを発表した。ただ、一連の不正行為については「知らなかった」と述べていて、これに対してもさまざまな意見が出ている。


この問題は氷山の一角というか、中古車業界や保険会社側に対してなんとなく感じていた闇の部分が露呈したというのは感じるよね。車はどんどん高度化していて、いまやブラックボックス。特に最近のハイブリッド車や電気自動車はハイテク機器の塊だから、検査したときに「ここが壊れてますよ」と言われたら、修理を頼むしかない。


それにビッグモーターに限らず、急成長した会社はブラック企業的な体質ということが多い。中古車業界も競争が激しいから、社員にさまざまなノルマが課せられているのは想像がつく。


ただ、最も被害を被っているのは利用者だ。車の整備というのは命に関わるもの。そこで利益だけを追求して、安全をないがしろにされてはたまらないよ。


俺も何度か中古車を買ったことはある。ただそれは新古車というか、ディーラーの所で1年売れ残った車を払い下げてもらったものだ。


車の中古相場というのも独特で、走行距離がほとんどなくても、ナンバーがついたらそこから中古扱いになって価値が下がる。家やマンションと同じで、日本人は新しいモノ信仰が根深いから、「これ新車だよ」と見栄を張る人が多い。

昔のアスリートは高級車思考

とはいえ、最近特に若い世代に、そういう感覚が薄くなってきているような気がする。

ひと昔前のプロレスラーは、他のアスリートに対しても差をつけたいという気持ちもあったから、みんないい車に乗っていた。


アントニオ猪木さんは、キャデラックのリムジンに乗っていた。ダークブルーの渋い色で、カッコよかったよ。坂口さんもキャデラックだけど白のセダン。藤波さんはシボレーに乗っていたのかな?


俺たちの世代は外国車でもベンツだね。武藤さんも橋本選手も乗っていた。その同時期、全日本プロレスの三沢さんや小橋くんたち四天王はBMWに乗っていたと聞いたことがある。そんなところにもライバル意識があったのかもしれない。


俺もいろいろな車に乗ってきたけど、最近はサイズの小さいクルマの方が便利だなと思い始めた。都内は道も狭いし、駐車場も小さい。デカい車だと身動きが取りづらいし、維持費もかかってしまうんだよね。


銀座で大きな高級車がデパートに横付けしてるのをよく見るけど、あれはほとんどが駐車場待ち。入れるのにも出すのにも時間がかかるから、ちょっとした買い物をするだけだったら、自転車の方が便利だよ(笑)。


とはいえ、あまり交通網が発達していない地方は車が生活必需品になっている。だからこそ、その界隈で不正をするのは罪深いよ。今回の問題も闇に葬らずに、真相を追求してほしいね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。