蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~令和に続く『闘魂三銃士』

『闘魂三銃士』の盟友だった橋本真也選手の長男で、プロレスラーとして活躍している橋本大地選手が入籍と第1子誕生を発表した。生まれたのは男の子で、すでに〝破壊王三世〟と呼ばれているそうだ。


大地選手のことは小さい頃から知っているし、俺はデビュー戦の相手も務めている。そんな関係もあって、実はマスコミ発表前に大地選手が奥さんを連れて挨拶に来てくれていた。彼もすっかり落ち着いたね。以前のヤンチャだった頃も知ってるから成長を感じたよ。


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大地選手に限らず、プロレス界にも2世レスラーが増えてきている。先日、俺のところに「STFを教えてほしい」と新日本プロレスの海野翔太選手が訪ねてきたんだけど、彼の父親はいまも新日本プロレスでレフェリーを務めているレッドシューズ海野。なので翔太選手も、業界的には2世レスラー扱いになっている。


海野選手はイギリスに長期遠征していたこともあってレスリングがしっかりしている。それにハートも強そうなんだよね。凱旋帰国試合は大会場でのビッグマッチだったんだけど、まったく緊張しなかったらしい。


そんな海野選手と、新日本プロレスの成田蓮選手、辻陽太選手の3人を『令和闘魂三銃士』として売り出すという発表があった。


3選手たちは「レッテルを貼らないでほしい」と訴えて、拒否しているそうだけど、その気持ちはよく分かる。俺たちのときもまったく一緒で、勝手にまとめないでくれと思っていた。


『闘魂三銃士』は、武藤敬司、橋本真也、蝶野正洋の同期で結成したユニットといわれるけど、1988年に凱旋帰国したときに有明コロシアムでタッグを組んだこと以外は、3人でまとまって何かをやったことがない。同じ時期に入門しただけで、年齢も違うし考え方も違う。だから、チームとして括られることにずっと違和感があったし、「闘魂」という言葉も重かった。

“闘魂”は猪木さんの代名詞

ずいぶんあとになって聞いたけど、長州さんは、このネーミングがものすごいショックだったらしい。長州さんや藤波さんの世代は、猪木さんの代名詞である「闘魂」に思い入れがあって、その看板を背負うことを目指していた。それを飛び越えて、「闘魂」を冠したユニットになったことで、俺たち3人が会社から印籠をもらって、正式な跡目になるのかと意識したそうだ。

『闘魂三銃士』は、一緒に何かを目指すということはなかったけど、同期として比較されたことは結果的によかったと思う。武藤さんが最初に海外遠征に行ったとか、橋本選手がIEGPに挑戦したとか、分かりやすい出世争いもあったし、いま2人が前に出て頑張ってるから俺はちょっと力を溜めておこうとか、バランスを取ることも出来た。


ただ、『令和闘魂三銃士』というネーミングに違和感があるというのも分かる。今の新日本プロレスは猪木さんのイメージが薄くなって、ますます「闘魂」が馴染まなくなってるからね。


ただ、どれだけ本人たちが拒否しても、こうして発表されてしまったら、そう呼ぶ人は増えてくる。そのイメージを活かすも殺すも3選手のこれからの活躍にかかっていると思うよ。


他の選手との差別化するなら『ブシロード三銃士』。オーナーの印籠を入れるべきだろ。これもダメか(笑)。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。