34歳を迎えた東北楽天のエース投手・田中将大の調子がまったく上がらない。
それでも石井一久監督は我慢して使ってきたが、必ず起用しなければならない〝理由〟もなくなった。いよいよローテーション剝奪の危機か。
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田中と言えば、若手時代は剛球で押すタイプだったが、近年は技巧派投手に。急所で「ギア」を入れてピンチをしのいできた。
だが今年はピンチで切り替えられず、大量失点を喫する試合が多い。
象徴的なシーンが、7月27日の北海道日本ハム戦であった。2-2の五回表に無死二、三塁のピンチを迎えると、ギアを入れ替えて投球したように見えた。
だが、三振を奪ったもののゴロの間に1点を失って二死三塁に。清宮幸太郎にはカットボール、ツーシームを投じて空振りを誘ったが制球が定まらず、振ってもらえない。
フルカウントから投じたスプリットが甘く入り、右中間を深々と破る三塁打に。この回2失点目を喫すると、ここからさらに打ち込まれ、7失点で降板した。
「好投したかと思えば炎上」の繰り返し
田中は5勝5敗の今季、7回以上を2失点以下で投げ抜くハイ・クオリティ・スタートを披露したかと思えば、次の登板時には打ち込まれる展開が続く。
今季は14試合に登板しているが、うち1試合で9失点、3試合で7失点、1試合で5失点を喫している。
田中は7月20日のオールスターゲーム第2戦で放送席に呼ばれ、今季を振り返っている。良い投球と悪い投球を交互に繰り返す状況を自虐し、「そういう自分が嫌になる」と話していた。
そろそろ田中の登板間隔を空けるべきでは、と野球記者は指摘する。
「良い投球を見せた1週間後に炎上するパターンが目立っているのだから、自然に考えて中14日程度で投げさせた方がいい。某週刊誌は岸孝之に次ぐ人気投手だから、田中をローテーションから落とすことはないと分析していたが、実は田中がいようといなかろうと、客入りは厳しい」
田中は今季、ホームで7試合に先発し、平均で1万9662人の観客を集めている。楽天の開催試合の平均1万8096人と比べれば多いようにも見えるが、楽天は東京ドームで主催試合を7月4日に開催しており、田中が先発して4万502人が訪れた。
東京ドーム開催分を除くと楽天の平均観客数は1万7574人で、田中は東京ドーム以外の6試合で平均1万6189人。ずいぶん寂しい数字にとどまっている。
「2007年の新人時代、当時の野村克也監督に『マー君 神の子 不思議な子』と言わしめた、あのころの姿はもうない。ファンもそれを見切っている。田中はそれでも責任感からローテーションにこだわるだろうし、見るからに優柔不断そうな石井監督も決断するとは思えない。楽天お得意のトップダウンの指示で、田中をローテーションから外さなければ、田中は無理をし続けるだろう」(同・記者)
田中は間違いなく正念場を迎えている。
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