『カワマス』北海道富良野市/布部川産~日本全国☆釣り行脚
異常とも言える暑さが続きますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。こう暑いと涼しい所に行きたくなるもので、毎年のことで恐縮なのですが、今年も夏の北海道にやってまいりました。オッサンになると炎天下での釣りがどうにも億劫になってしまうものでして…。
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さて、北海道といってもそのフィールドは広く、今回は〝北海道のヘソ〟として知られる富良野にてカワマスを狙ってみたいと思います。
北米原産のカワマスは、1901年に栃木県日光に移入されて以降、国内の各地に移植された経緯を持つ外来種です。ただし、よく知られた外来種のブラックバスやニジマス、あるいはブラウントラウトなどと比較して、いろいろと気難しい(適応という点で)面があったのか、それほど安定した定着はしなかったようです。
とはいえ、イワナの仲間であるカワマスは在来のイワナ類と容易に交雑してしまうため、在来種の保護という観点からも要注意外来生物に指定されており、北海道内においては移植が禁止されております。もっともワタクシは釣れたら美味しくいただくので問題ありませんが…。
そんなカワマスですが、北海道内に広く生息しているかというと決してそうではなく、ごく限られた箇所にしか生息しておりません。やはり何かと気難しい魚なのでしょう。外来種ゆえあくまで問題点は抱えながらも、国内ではレア魚としての側面も持った魚と言えるのかもしれません。
のどかな麓郷に北米産が繁殖
観光客で賑わう富良野市街を抜けてしばらく車を走らせると、やがてのどかな麓郷地区を流れる布部川に到着です。渓流というよりは里川といった雰囲気の布部川に、釣り人の姿はありません。河原へと下りてみると、岩盤で緩やかな滑床の独特な川相です。一般的な渓流釣りではおよそ優良ポイントとは思えぬような浅い岩盤の川ゆえ、おのずとポイントは所々にある人工の堰堤下に絞られます。「いなくはないだろうけれど、果たして釣れるのだろうか…」安物の竿に簡単なミャク釣り仕掛けを結び、エサのミミズをハリに付けます。「変わり者のカワマスなので、案外、渓流釣りのセオリーを外れたこういう所にいるのか?」と、半信半疑ながらもとりあえず落ち込みに仕掛けを沈めると、いきなりグリグリッとアタリが出ました。
仕掛けを上げるとエサが取られております。いきなりのアタリに少し興奮を覚えつつ、急いで小さめのミミズを選んでハリ付け。再度、同じポイントへ静かに仕掛けを沈めると…グリッ! 来ました。竿先を下げ糸を少し緩め、ゴツゴツッという明確なアタリで軽く竿を煽るとグンッとハリ掛かりです。小気味よい手応えを楽しみながら抜き上げた魚は、20センチほどのイワナのような見た目。よく見るとカワマスの特徴と言える背ビレの縞模様、そして魚体には水色に縁取られた赤い斑点があります。
その後は釣り上がりながら、目ぼしいポイントに仕掛けを入れると、ほぼアタリがあってカワマスがヒット。それほど大きな物は掛かりませんが、それでも25センチ近いサイズになると手応えはなかなかです。ひとしきり釣って、外来種とはいえ必要以上に釣るのもアレですし、十分に満喫できたことから竿を納めることにしました。
終わってみれば、短い区間とはいえ釣れたのはすべてカワマス。純粋なカワマスよりは何となく地味な色合いと言えなくもないので、おそらくエゾイワナ(アメマス含む)との交雑種が長年にわたって繁殖しているのかもしれません。
さて、帰宅後はカワマスを塩焼きにして一杯。肉付きがよく、程よい大きさのカワマスはイワナの仲間ですから当然、美味で酒も進みます。
外来種とはいえ、移植するのも駆除するのも人間です。価値があれば保護、なければ駆除…この価値観も学者、商売人、釣り人、でそれぞれ異なるわけですが、魚にすればそんなことは知ったこっちゃないわけで…。難しいことはあまり考えずに、自然の恵みを楽しく釣って有り難くいただくというのも、ある意味、自然に謙虚に生きるということなのかもしれません。などと無責任なことを言いつつまた次回…。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。
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