(画像)DFree/Shutterstock
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【世界の歴史ミステリー】映画『インディ・ジョーンズ』シリーズに描かれた古代文明の秘宝をめぐる攻防

映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の公開から42年、この夏はシリーズ第5作となる『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が何かと話題を呼んでいる。そこで同シリーズで描かれた歴史ミステリーや秘宝、超常現象について改めて検証してみた!


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世界中で愛され続けてきた冒険活劇映画のシリーズ第5作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が、6月30日に公開された。シリーズを通して流れる楽曲『レイダース・マーチ』に懐かしさを覚える人も多いだろう。この7月で主演のハリソン・フォードは81歳になったが、今作でも年齢を感じさせない激しいアクションを披露している。


最新作の舞台は1969年、歴史を変えるといわれる秘宝『運命のダイヤル』をめぐり、時空を超えた争奪戦が繰り広げられる。考古学者で探検家のインディが、さまざまな超常現象を乗り越え、神秘の力を悪用しようとする敵と対峙していくのが、シリーズに共通するストーリー。そこで、それぞれ作品のカギとなった歴史ミステリーを以下に紹介してみたい。

聖櫃は日本にもあった!?

▼『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81年)


時は第二次世界大戦の直前、ヨーロッパではヒトラー率いるナチス・ドイツが勢力を拡大していた。この第1作でインディは、古代エジプトの遺跡に眠る『聖櫃(アーク)』が、ナチスに軍事利用されることを防ぐため奮闘する。


モーセが神から授かった十戒(ユダヤ教徒が守らなければならない10の規律)を石板に刻み、それを納めたとされる箱が聖櫃で、この神宝には超自然的な力が秘められているという。


聖櫃は『契約の箱』とも呼ばれ、全長130センチ、高さと幅は80センチほどの大きさ。アカシアの木で作られ、全体が金箔で覆われている。


また、箱の上部には羽を広げた2人の天使の像が飾られ、その両脇には箱に直接触れることなく、担いで持ち運べるように棒が取り付けられている。


作中では、聖櫃を開けると中から邪悪な霊魂が出現し、その姿を見たすべての人間を溶かして葬り去った。


しかし、本来の聖櫃には十戒を刻んだ石板のほか、マナの壺、アロンの杖が納められたと伝えられ、この石板と壺、杖は『三種の神器』とも呼ばれている。そして、これが日本における八咫鏡、八尺瓊勾玉、天叢雲剣(草薙剣)に相当するとの説もある。


旧約聖書に記された古代イスラエル12部族のうち10部族は、新バビロニア王国の支配から逃れるために、それぞれが三種の神器を納めた聖櫃を持って世界各地へ散らばったと伝えられる。


そのうちの1部族は、はるか日本にまでたどり着いたともいわれるが、確かに三種の神器の相似だけでなく、聖櫃の形状も日本の神輿とよく似ている。また、これらを根拠に、日本人とユダヤ人の先祖が同じだとする『日ユ同祖論』を唱える学者もいる。


徳島県の剣山では毎年7月17日、山頂へ向かって神輿を運ぶ神事が行われるが、普通なら山から里へ神輿を運ぶ。つまり、聖櫃を山頂に埋蔵したことを忘れないため、それを神事として再現しているのかもしれない。なお7月17日という日付は旧約聖書において、大洪水の中を『ノアの方舟』がアララト山に漂着した日だとされている。


実際、剣山については戦前から複数回にわたって発掘調査が行われ、このとき地下に造られた神殿や100体以上のミイラが発見されたともいわれる。また、戦後にはGHQ(連合国軍総司令部)も剣山の発掘調査を行っているが、これも聖櫃を探すためであったと考えられる。


64年に剣山一帯が国定公園に指定されたことから、追加調査はなされていない。だが、剣山に近い磐境神明神社については、かつてイスラエルの元駐日大使が「古代イスラエル王国の礼拝所に似ている」とコメントし、視察に訪れたこともある。そのため、今も同地には多くのユダヤ人観光客が訪れている。

インド最高神の性豪伝説

▼『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84年)


第2作はインドが舞台。山奥にある寂れた村に降り立ったインディは、邪教集団に奪われた秘石『サンカラ・ストーン』と、さらわれた村の子供たちを取り戻すため、かつてマハラジャが支配していたパンコット宮殿へと向かう。


マハラジャとは、サンスクリット語で「偉大な王」の意味。イギリスから独立する直前のインドには600以上の藩王国が存在し、それぞれの統治者たちがマハラジャを自称していた。ちなみに、日本のバブル期を象徴する高級ディスコ『マハラジャ』はここから命名したもので、その名付け親はデヴィ夫人である。


サンカラ・ストーンとは細長くすべすべした聖なる石で、サンカラという僧侶が邪悪と戦うため、シヴァ神から与えられたと伝えられる。作中では5つあるサンカラ・ストーンをすべて集めると、世界を支配できるほどの力を発揮するとされていた。このサンカラ・ストーンは、他のシリーズの秘宝に比べると有名ではなく、製作者側の創作だと思われるが、インドに伝わる伝説や宗教、特異な風習からインスピレーションを得ていたことが分かる。


サンカラに秘石を与えたとされるシヴァは、ヒンドゥー教における最高神(ブラフマー、ヴィシュヌと並ぶ3柱の主神とする解釈もある)。日本においては仏教の神として取り入れられ、大黒天や不動明王などに発展したと考えられている。


また、シヴァは大都市を一撃で消し去るほどの破壊をもたらす一方、精力もズバ抜けている。ある賢者がシヴァを訪ねたところ、性行為の最中だったために「終わるまで待とう」としたら、何百年も終わることなく延々と続いていたというのだ。


本作は全編に東洋的な怪しいムードが満載。邪悪な司祭が人間の心臓を抉り出したり、グロテスクな料理を食べたり、シリーズの中でも不気味な描写が多い。そのため、娯楽映画としての見せ場が多いにもかかわらず、厳しい評価も受けた。

キリストの聖遺物を探せ

▼『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(89年)


世界的に最も興行収入を上げたのは第4作だが、日本においてはこの第3作がシリーズ最大のヒットとなった(興行収入は約74億円。4作目は約57億円)。


本作では『レイダース』に続いてナチス・ドイツが登場。イエス・キリストに関連した秘宝の『聖杯』を狙うが、それを阻止しようとするインディの活躍が物語の軸となっている。


現在における一般的な聖杯とは、キリスト教の儀式で用いるブドウ酒を入れる器のことだが、歴史的に見たときには「最後の晩餐に使われた食器」「ゴルゴダの丘で十字架に磔刑にされ、ロンギヌスの槍で貫かれたキリストの足元から流れる血を受けた器」などといわれている。


中世ヨーロッパでは聖杯の探索を描いた『アーサー王物語』など多くの騎士道文学が生まれ、これにより「聖杯伝説」は民衆にまで広く知られるようになった。病気を治癒する超自然的な力を持つという伝承もある。


作中では、聖杯に注がれた水を飲むことで永遠の命が授けられるとされ、いくつもの杯の中からニセモノの杯を選んだ敵役は死に、正解を選んだインディは重傷の父に杯の水を与えて回復させることに成功する。なお、劇中で本物の聖杯とされたのは、内側に金箔が施された木製の杯だった。


キリストや聖母マリアにまつわる遺品、キリストの受難に関係する遺物、または諸聖人に関する遺骸や遺品を『聖遺物』というが、聖杯はもちろんキリストの遺骸や遺品、十字架、飼い葉桶などはいずれも発見されていない。


発見の期待がかかるキリストの墓については、イスラエルのエルサレム旧市街にある『聖墳墓教会』と『園の墓』の2カ所が有力視されている。


これ以外にも日本の青森県戸来村(現在は三戸郡新郷村大字戸来)にあるキリストの墓や、インドのカシミール地方で長く守られてきた「イエス」と書かれた墓、秘密結社シオン修道会が守り続けてきたとされる南フランスの墓など、いくつかの候補が存在する。


戸来村の墓については、古代イスラエルを意味するヘブライとの語感の近さや、古くから伝わる地域の風習がユダヤのそれと似ていることから、これを本物と信じる研究者は少なくない。


今後、こうした墓の科学的調査が進めば、本物の聖杯が見つかる日が来るかもしれない。

UFO墜落事件と米政府

▼『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年)


第4作の舞台は57年で当時は米ソ冷戦時代。ソ連のスパイに捕まったインディは、10年前に発生した『ロズウェル事件』の際、米軍が回収したとされる宇宙人の遺体を探すことを強要される。インディはソ連軍と戦いながら、物語の重要なアイテム『クリスタル・スカル』を発見し、その謎を解き明かす。


作中で世界を支配するほどのパワーを秘めているとされたクリスタル・スカルは、宇宙人の頭蓋骨であったが、そのモチーフとなったのは中央アメリカの遺跡で発見されたという水晶ドクロ。だが、この水晶ドクロについては映画公開と前後して、ダイヤモンド研磨剤などの近代技術によって加工された模造品であったことが判明している。


一方、物語の発端となったロズウェル事件については、今も不明な点が数多く残されている。


47年7月8日、ニューメキシコ州の米陸軍ロズウェル飛行場が、「航空隊の職員がロズウェル付近の牧場において、墜落した空飛ぶ円盤(フライング・ソーサー)を回収した」とのプレスリリースを発した。


しかし、リリースからわずか数時間後、米軍はこれを訂正して「職員が回収したものは空飛ぶ円盤ではなく、気象観測用の気球であった」と発表した。ちなみに、空飛ぶ円盤という言葉が使われたのは、このときが初めてだった。


事件については地元紙でも報じられ、第一発見者となった付近の牧場主は「その日は嵐で激しい落雷もあり、牛の様子を見に行ったところ、牧場内に見たことのない奇妙な物体が散らばっていた」と話している。


現在、ロズウェル事件に関する米政府の公式見解は、「47年に調査したとされる〝宇宙人の回収と解剖〟とは、その後に発生した航空機墜落事故と混同して報告されたもの」となっている。だが、今もこれを実際に起きたUFO墜落事件であり、米政府が事実を隠蔽していると考える研究者は少なくない。


近年、米国防総省は本格的にUFO関連の調査を始めており、今年4月には「650件以上の情報について調査中である」と担当者が明かしている。


こうしたことから、そう遠くない将来には、ロズウェル事件についての真相が明かされる可能性が高い。