岸田文雄 (C)週刊実話Web 
岸田文雄 (C)週刊実話Web 

支持率低迷の岸田政権“10月解散”に向け「外交問題」着手で反転攻勢か

軒並み内閣支持率低下の岸田文雄首相が反転攻勢の切り札として「9月内閣改造」、「10月解散」に舵を切ったともっぱらだ。


まずは、在京テレビ局の官邸キャップが解説する。


「岸田内閣の支持率急落は昨秋、4人の閣僚が旧統一教会との接点や政治とカネ問題などで『ドミノ辞任』に追い込まれて以来の厳しさです。今回の支持率低迷の最大要因は、ガソリン価格や食品など相次ぐ物価高騰に反し、給与が上がらない〝格差〟にある。そこへマイナンバーカード(マイナカード)のトラブル続出、岸田首相長男の公邸ドンチャン騒ぎ、さらには財源確保が不透明な『異次元の少子化対策』で反岸田ムードに火がついた格好です」


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時事通信が7月上旬に実施した世論調査では、内閣支持率は前月比より4.3ポイント減の30.8%にまで激減した。比較的支持率が高い傾向にあるTBS系列は40.7%だが、前回6月より6.0ポイントも下落している。反対に不支持率は、前回調査から8.1ポイント上昇し、56.4%に跳ね上がっているのだ。


「このままなら、6月に亡くなった政界の重鎮、青木幹雄元官房長官が唱えた内閣崩壊の目安である『青木の法則』超えとなる。つまり、自民党支持率プラス政権支持率が5割を切る内閣は必ず倒れるという法則です。岸田内閣は着々と近づいている」(同)


7月の時事通信の支持率でいえば、内閣支持率は30.8%、そして自民党支持率は23.6%。合わせると、54.4%だから危険水域なのは間違いない。


「岸田首相は、このまま受け身でいても〝座して死を待つだけ〟に等しいと、反転攻勢を強める腹を固めたようだ。前段階として、夏の内閣改造で人心一新、その勢いに乗って一気に秋の解散総選挙で勝利を収める青写真です」(政界消息筋)

茂木氏が納得するように

複数の岸田首相周辺の情報を総括すると、まず首相の足元を固めるため、8月下旬から9月にかけ内閣改造と党役員人事に着手。その中でネックは最大派閥である安倍派との関係、連動して茂木敏充幹事長を続投させるかどうか。次にマイナカードのトラブル問題を抱える河野太郎デジタル相の処遇だという。

「岸田首相は幹事長を茂木氏から安倍派の萩生田光一政調会長に代える案を本格的に検討している。というのも、首相の視線の先にあるのは2024年の自民党総裁選だからだ。今、岸田政権を支える中核は岸田派45人と麻生派55人、茂木派54人だ。茂木氏が幹事長を外れれば、茂木派は反主流に回る可能性もあるが、岸田首相にすれば、次の総裁選で勝つには100人を擁する安倍派は無視できない。安倍派は集団指導体制だが、次の派閥会長は萩生田氏が最有力で、その萩生田氏を幹事長に据えるのが〝再選のベスト〟と考えているようだ。河野デジタル相はマイナカード問題で更迭するだろう」(岸田派幹部)


では、主流派を構成する茂木派トップの茂木氏はどうなるのか。


「河野デジタル相の後釜という見方もあるが、それではプライドが人一倍高い茂木氏が納得するはずがない。岸田首相の後見人の麻生太郎副総裁が根回しし、財務相の椅子を用意して〝三顧の礼〟で迎えれば茂木氏の面目も立つ」(同)


解散総選挙になった場合の選挙対策にも抜かりはない。衆院東京28区をめぐる候補者調整でモメた公明党との関係は、完全修復したとは言い難い。今後、自公間で再び衝突する火種を残している状態だ。


「岸田首相が密かに温めているのが、国民民主党を連立枠に取り込む案。玉木雄一郎代表と首相は政策も近く、理解し合える仲だ。野党の国民民主党は昨年、政府予算にも賛成している。公明党とは連立を維持するが、先々を見据え玉木代表を自軍に加え、支持基盤の連合の一部を引き寄せる戦略ですよ」(同)

北朝鮮問題などの外交課題

かくして、内閣改造、党役員人事とセットで練られているのが、10月解散というわけだ。

「選挙のマイナス材料になり得る国民の6〜7割が反対の防衛費増税は2025年以降と、1年先送りになった。その岸田首相が反転攻勢の大きな柱として捉えているのが外交ですよ。3月のウクライナ電撃訪問、5月のG7広島サミットのゼレンスキー大統領参加は見事だった。外交カードがいかに有効かは、G7広島サミット後の内閣支持率が10ポイント近くも急上昇したのを見ても明らか。岸田首相も外交成果に味をしめている」(自民党幹部)


岸田首相が狙う外交課題はいくつかあるが、目玉の一つは北朝鮮問題だ。


「首相は北朝鮮外交に本腰を入れ始めた。核開発、拉致問題などの早期解決に向け、電撃訪朝、日朝トップ会談への道筋を9月までにつけたいと意気込んでいる」(前出・政界消息筋)


二つ目は中国。昨年11月、タイで3年ぶりとなった日中首脳会談の再来だ。


「習近平国家主席とは、台湾、原発処理水、反スパイ法など会談テーマは多い。習氏も低迷する中国経済に活路を見出すため、日本の協力を得たいはず」(同)


岸田首相は全国各地での対話集会に動き出している。解散風は吹き始めた。