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『ゼロゼロ融資』の返済は国民の負担に!? 利子や担保不要の功罪

(画像)ViDI Studio / shutterstock

新型コロナ禍対策の一環として、経営が悪化した中小企業に実質無利子・無担保で貸し付けた『ゼロゼロ融資』の返済ピークが、今夏から始まっている。しかし、相次ぐ企業の経営悪化や倒産による回収危機で、国民に負担が強いられる可能性が出てきた。


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ゼロゼロ融資は、2020年3月からコロナ禍で売り上げが減った中小企業を対象に、金融機関が担保なしの無利子で金を貸し出す制度。本来は借り手が金融機関に支払う利子を3年間、都道府県が負担する。新規受付は民間金融機関が一昨年3月、日本政策金融公庫などの政府系金融機関は昨年9月末で終了している。

中小企業庁によると、融資実績は昨年9月時点で約245万件、融資総額は約42兆円に達した。

「実質的に無利子となるのは、融資から最長で3年間。今夏から返済がピークになるはずなんですが、コロナ禍がやっと落ち着いたとはいえ、企業がゼロゼロ融資を受けた後に倒産したケースが続出しているんです」(都内の公認会計士)

そもそもの融資体制が…

東京商工リサーチによると、22年度のゼロゼロ融資を利用した企業倒産は前年度3.6倍の541件。産業別では、外出制限などで立ち行かなくなった飲食業や宿泊業を含むサービス業他が約33%を占め、次いで建設業、卸売業、製造業となった。

「殺到したゼロゼロ融資の審査において、当時は政策の有効性をアピールするため、スピード感を重視した。そのため、チェックが後手に回った。まさか、ゾンビ企業がこれほどあるとは思っていなかった。ゼロゼロ融資をめぐっては、民間金融機関が業績改ざんなどの不正を主導して貸付金額を増やしたり、反社会的勢力が虚偽申請したケースもあった。融資の審査体制がズサンだったんです」(経済ジャーナリスト)

民間金融機関のゼロゼロ融資が焦げ付くと、公的機関の信用保証協会が返済を肩代わりする。同協会が金を回収できない場合は損失の一部を公費で穴埋めする。

「要するに、国民負担になるということですよ」(前出・公認会計士)

国民負担もゼロにしろ。

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