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JRA重賞『函館記念』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

秋本鉄次
秋本鉄次(C)週刊実話Web 

ゴール前、逃げる池添ドンフランキー、追う川田リメイクのたたき合い。後続を大きく離して(結果6馬身)、最低限の馬連確保、さあ3着は? と見たら大外の藤岡佑オメガレインボーが猛追、内は西村淳エルバリオが粘る…『淳也! アツヤ!』とのわが願いも空しく、藤岡佑が首差しのいでやんの。嗚呼。

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馬連610円だけでは〝大ガミ興行〟ではないか。まるでボウズよりはマシ、とはいえ、ちっとも嬉しくないっ! まあ。先週の文中で「7歳馬でも近走は堅実な藤岡佑オメガレインボーは大外がネック」と、枠順を見て、バッサリ切ってしまった私が悪いのですが…。大外だから切った、で後悔した記憶といえば、近走ではヴィクトリアマイルのソダシ(2着)、安田記念のソングライン(1着)って…結構あるなあ。〝同じ轍〟をまた踏んでしまった。学習能力ないねえ。

早いもので、もう今週で函館は終了し、舞台は札幌へ。函館総決算は函館記念で、と競馬ファンのカレンダーは決まっている。例によって、騎手にフォーカスすれば、ルメール大将と川田のリーディングのデッドヒートが続いており、現在2着の差で大将がわずかにリード。大将は函館に居座って、前記の函館記念ではローシャムパークに騎乗するのだが、実は大将、このレース相性がヒジョーに良くない。

人気馬に乗って掲示板にも乗らないこともしばしばだもの。今回も人気必至だが、本命には推せないなぁ。では、巴賞1、2着の横山武アラタ、武豊ドーブネがいいか、というと、騎手も含め一見魅力的だが、こちらにしても〝巴賞連対馬の馬券圏内はこの10年でゼロ〟というデータがあり、いかにも狙いにくい。てなわけで、空振り覚悟の穴狙いで行く!

1番手は鮫島駿アルナシーム。函館勝ちもあるし、昇級戦でも侮れない。成長力に期待したい。吉田隼ルビーカサブランカは、前走の巴賞5着敗退を逆に吉兆と見て抜擢。洋芝適性もあるはず。久々に岩田パパの善戦が見たいのでブローザホーン。函館の2000メートルは良いはずだし。リピーター組が少ない函館記念なのは承知だが、20年、21年ともに3着に来たバイオスパークの例にならって、昨年3着の西村淳スカーフェイスにリピートして貰いたい。

“映画連想馬券”の本命はアラタ

あと前出のデータ的に、疑問組ではアラタを抜擢したい。巴賞を取らせて貰った恩義もあるし。まあジンクスは破るためにある、とここだけは自己都合で言い訳したりして…。ローシャムパーク、ドーブネが来たらゴメンナサイ、ということでよろしく。

話は逸れるけど、土曜重賞の函館2歳Sは西村淳ナナオを買いたい。こちらも前走、取らせて貰ったし。鞍上が注目新人の佐々木から乗り替わりなのだが、淳也なら文句ナシ。何せ馬名が気に入ったしね。ヘヘヘッ、女優・菜々緒のファンなもんで。形から入るタイプの私です。ついでに言えば、新馬勝ちしたボンドガールも名前から入ったクチで、今後の出世を期待したい。

さて〝映画連想馬券〟だが、ジンクス的には狙いにくいアラタから、私のご贔屓個性派俳優のアラタこと井浦新の新作『福田村事件』を。1923年9月1日の関東大震災から6日後、千葉県東葛飾郡福田村で薬売りの行商団15人が朝鮮人と疑われ、その内9人が自警団に殺された実話に基づくもの。〝不逞鮮人が毒を撒いた〟〝破壊行為をしている〟という流言飛語から来る震災下の「朝鮮人虐殺」関連の題材を真っ向から扱った映画は多分これが初めて、と記憶する。歴史に隠された真実を知る思い。井浦新は、日本統治下の朝鮮・京城から、この故郷・福田村に妻(田中麗奈)と帰ってきて、事件に遭遇する元教師を演じている。インテリでリベラルな日本人が己の無力さを思い知る忸怩たる演技が素晴らしい。悲劇に見舞われる行商団のリーダー格に扮する永山瑛太も熱演だ。これまで『A』『FAKE』『i~新聞記者ドキュメント』などインパクトの強いドキュメント映画を撮り続けて来た森達也監督初の劇映画でもある。この秋一番の〝激熱〟問題作として太鼓判を押す。狙いすましたように「震災の日」の9月1日公開というのも覚えやすいでしょ。

馬券は⑦⑧⑩⑬⑮ボックス馬連&3連複。他も考えたが、この5頭に絞ろう。続・夏競馬でもアツくならずボチボチ行こう、ですな。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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