(画像)saiglobalnt/Shutterstock
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伊豆諸島でキンメダイの水揚げが激減!? イルカによる“食害”が原因か…

全国有数のキンメダイの好漁場として知られる伊豆諸島(東京都)周辺で、観光資源として愛されているイルカによる〝食害〟が地元漁民を悩ませている。


東京都が神津島で実施している標本船による調査では、年間の出漁日のうちイルカによる〝被害率〟が2018年は4.3%、19年は18.6%、22年は25.4%と急増しているのだ。


【関連】サンマの“高級魚化”が止まらない!漁獲量過去最低を記録…食卓から消える ほか「キンメダイ漁は数十本の針がついた仕掛けを深海に垂らして一気に巻き上げる〝底引き一本釣り〟が主流。これまではイルカの群れを目視できたので、離れたところで仕掛けを巻き上げれば被害に遭わなかった。しかし、ここ数年はイルカの姿が見えないことを確認して仕掛けを巻き上げても、針にかかったはずのキンメダイが食われているケースが増えている。イルカは賢いから海底に潜って針にかかったキンメダイを横取りするんです」(漁業情報センター関係者)

黒潮の流路が大きく蛇行し…

キンメダイを横取りするのはバンドウイルカ。子供たちを楽しませる曲芸を見せる水族館のかわいい人気者だが、バンドウイルカは回遊性が高い一方、太平洋を流れる黒潮に沿って分布するとされる。近年は黒潮の流路が大きく蛇行しているため、イルカの生息域が変化し「伊豆諸島付近で回遊するようになった」(同)という。

「イルカが好んで食べるイワシ類が環境変化で減ったため、キンメダイを狙い始めたという見方もあります。漁業者は東京都にイルカ駆除の割り当て漁獲を求めたんですが、イルカは観光資源の側面もあるから都は『駆除目的の漁は認められない』と拒否した。今年度から都はイルカを追い払う作戦を開始している。点火すると大きな音が鳴り響いて動物を驚かせる〝動物駆遂用煙火〟を導入したんですが、効果はイマイチのようです」(漁業ライター)


イルカが食い逃げする影響からか、東京・豊洲市場での4月のキンメダイ取り扱い量は198.9トン。3月から37%も減少しており、昨年4月と比較しても24%ほど少ない。


〝カワ賢い〟イルカにお手上げ状態だ。