ホームラン、打点で両リーグトップに立った(6月19日時点)エンゼルスの大谷翔平。今季の快進撃は目覚ましく、バットで次々メジャーリーグの記録を塗り替えていく。我々は歴史の目撃者になる?
大谷が23号ソロを放ったのは、現地時間6月17日のロイヤルズ戦だった。これがMLB通算150号のメモリアル弾でもあったわけだが、現地メディアの報道はちょっと違った。
地元放送局のバリースポーツ・ウエストによれば、「エンゼルスで150号に到達した最速の選手となった。素晴らしい実績を残したトロイ・グロース氏よりも早い」という。
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現在、46歳のグロース氏は、2000年代に活躍したエンゼルスの元看板選手だ。さらに、ここ最近の大谷の好調ぶりについて「この本塁打で14試合連続安打を記録。6試合連続長打&四球は1901年以降2位タイ。37年のビリー・ワーバー、55年のミッキー・マントル、97年にバリー・ボンズの3人が記録していた。7試合連続なら21年のベーブ・ルースに並ぶ」とのことだ。
〝偉人〟が多すぎてよく分からないかもしれないが、「打撃好調」のひと言では済まないくらい、スゴいということなのだろう。
「〝ゴジラ〟こと松井秀喜氏がMLB通算175本。今季中に日本人選手の歴代1位となりそう」(スポーツライター・飯山満氏)
日本のファンにもすごさが伝わってきて、アメリカのファンも「塗り替えてほしい!」と思っている記録も見えてきた。「シーズン最多本塁打数」だ。
歴史的瞬間に立ち会えるかも
メジャー記録は01年にバリー・ボンズ氏が樹立した73発。大谷が21号を放った14日で計算されたのだが、「今の15戦9発のホームランペースが持続された場合、大谷は76本を記録できる」と、メディア各紙が報じたのだ。
「ボンズ超え」は、意義深い。01年の73発には、禁止薬物の使用があったとされ、MLBではホームラン記録の話をする際にも、意図的に避けられてきた。
そんな「黒歴史」を、大谷が塗り替えてくれるかもしれないのだ。
また、「15戦9発」の計算が出た後だが、「3試合2発(17日時点)。ホームランの出るペースは落ちていない。わずかだが、ペースとしては増している。
「70試合で21本を打った、もしくは73試合で23本というのが、現時点でのホームランが出るペースです。大谷の自己最多は21年の46本。『15戦9発』のペースを維持するのは大変ですが、少なくとも46本を上回るペースで量産されています」(米国在住ライター)
米国の野球ファンの間で最も関心が高いのは、ホームランだ。禁止薬物に汚された記録が「大谷のクリーン」なイメージで一掃されるのであれば、最高のドラマとなり、歴史的瞬間に立ち会えるという。
「本塁打王争いのライバルであるヤンキースのアーロン・ジャッジは右足親指を負傷し、復帰時期は未定と伝えられています。大谷への期待は高まるばかり」(同)
23号の出た試合後、大谷は会見を辞退した。チームが敗れたためだと思われるが、同時点でエンゼルスの順位はア・リーグ西地区2位。勝率5割を超えており、首位レンジャーズとのゲーム差は4.5。「優勝争いのヒリヒリ感」を熱望していた大谷の筋書き通りにはなっている。
2年振りのホームランダービー
こうした大谷の試合後の様子を、「優勝争いをし、勝つ」の本気度、気合と受け取める声も多く聞かれた。
「試合前、打者・大谷のルーティンは独特です。大半の野手は野外でのフリーバッティングに時間を割きますが、大谷は映像資料室にこもって、対戦投手のデータや映像に見入っています。その時間が昨季よりも長くなったのでは」(現地メディア記者)
首位レンジャーズとの4連戦で3勝1敗、投手・大谷も15日に先発し、6回2失点で6勝目を挙げている。同試合後は会見に応じ、
「ベンチの熱気もここ最近で一番いい。これが続くように頑張りたい」
と答えていた。
「伝説」への挑戦よりも優勝を優先する言動に、ファンも好感を持ったそうだ。
首位レンジャーズ戦の成績を見てみると、4試合12打数7安打、4本塁打、8打点、7四球、6得点で打率5割8分3厘。「勝つ」の思いがホームランの量産態勢につながったとも解釈できる。
「大谷の疲労がピークに達するとしたら、球宴前後でしょう。昨季も球宴後、打撃成績を少し落としています。彼の球宴出場は当確、2年ぶりにホームランダービーに出場する可能性も高いので、注目度がさらに増していきそう」(同)
チームが勝ち続ければ、大谷のモチベーションが落ちることはない。76発の歴史誕生はチーム次第か…。
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