(画像)mboyce/Shutterstock
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高級魚「クロマグロ」豊漁なのに漁師はピンチ!? “厳しい規制”に違反者も続出

青森県・大間、北海道函館市・戸井船団のブランドでも知られるクロマグロ。ところが沖縄県石垣島や全国各地の漁場では、クロマグロの豊漁による漁獲枠制限に、地元の漁業関係者が泣かされている。


4月1日から始まった沖縄近海でのクロマグロ漁。4月9日、石垣漁港には、はえ縄漁船から丸々と太ったクロマグロが、次々に姿を現した。200キロ前後のクロマグロが4本、最も大きかったのは222キロだった。


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4月中旬には、岩手県大船渡市の魚市場にサバやイワシの定置網にかかっていた約260本(約27トン)のクロマグロが水揚げされた。


「5月25日には、鳥取県の境港で長崎県の巻き網漁船が、60トンものクロマグロを漁獲した。重さ110キロ前後が中心でしたが、200キロ近い大物もあった。豊漁の原因は、海水温が例年より高く、餌になるイワシが多いからです」(漁業情報センター関係者)

割り当てられた漁獲枠が少ない問題

クロマグロは、資源確保の観点から漁獲枠が都道府県別に割り当てられており、沖縄県は最盛期の6月を待たず、5月8日に水揚げ流通を禁止する採捕停止命令を発出した。

「岩手県も然り。今年度の岩手県に割り当てられた漁獲制限量は60.9トンですが、すでにその枠に迫っている。そのため、県は自粛要請を出している。漁獲枠を超えると、漁期であっても採捕禁止=終了になる。停止命令に違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる可能性もある。クロマグロ漁で生活している業者には、厳しい規制ですよ」(同)


今年3月、青森県大間産クロマグロの漁獲量未報告事件で、青森地検は漁獲報告義務違反の罪で漁師ら20人以上を略式起訴した。


「県に未報告の漁獲クロマグロが、静岡県の中央市場で売られていたんです。しかも、価格は東京・豊洲市場の半値。県を通さない〝脇売り〟が常態化していた。その結果、大間ブランドのイメージは悪化しましたが、一方で『漁獲枠が少なすぎる』という漁師らへの同情の声も上がっています」(豊洲市場水産仲卸業者)


〝海のダイヤ〟のクロマグロは、豊漁でも喜べない。