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「文春砲」に耐えた岸田首相、“親ばか”解散を決断か… “Xデー”はいつ?

岸田文雄
岸田文雄 (C)週刊実話Web

通常国会の会期末(6月21日)が迫る中、一度鎮静化したはずの解散風がここにきて強まり、与野党間で緊張の度合いが増している。会期延長の6月末解散説も飛び出し、永田町は選挙モードに突入した。

6月5日夜、自民党の麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が都内の日本料理店で4時間にわたって会談した。その直前には党本部で岸田文雄首相と麻生、茂木の3氏が協議している。

「漏れ伝わってくるのは、解散の密談だ。首相は解散にゴーの姿勢で、茂木幹事長は首相にならい、麻生副総裁は『大義名分が弱い』の慎重論と聞く。ただ、首相が専権事項の解散カードを切れば、否応なしに選挙となる。自民党内では『解散は避けられない』の空気が優勢になっている。〝関西方面の某衆院議員は地元で選挙事務所の確保や印刷所の手配なども始めた〟といった情報も流れている」(自民党若手議員)

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岸田首相がここにきて解散に舵を切った理由は何か。

「ウクライナのゼレンスキー大統領の電撃訪日で全世界の関心を集めたG7広島サミットの成功が大きい」

と分析するのは、選挙アナリスト。G7広島サミット直後の岸田内閣支持率は読売新聞調査で前回の4月より9ポイント上昇し、56%に跳ね上がった。他のマスコミ調査でも軒並み支持率は上昇しており、岸田政権は盤石と思えた。

「首相は上機嫌だったが、文春砲による長男・翔太郎氏の公邸でのドンチャン騒ぎが炸裂した。ここで解散は絶望的かと思いきや、文春砲があっても支持率は5ポイント低下の47%(日経新聞)と踏ん張り、撃沈には至らなかった。〝親ばか〟と揶揄された岸田首相も長男をスパッと切り、一気に解散の腹を固めたとされる」(全国紙政治担当記者)

内閣支持率低下を最小限に食い止めた意義は大きい。解散・総選挙となっても負け戦にならないからだ。

「ここで選挙に勝てば、来年9月の自民党総裁選で再選できると踏んだ。解散のタイミングが遅れ、秋口や年末解散となるとどうか。岸田政権が打ち出した大きな柱である『防衛費43兆円』と『異次元の少子化対策』は、共に兆単位の巨額予算が必要。遅くとも年末までには財源確保をクリアにする必要に迫られる。その財源問題では増税や高齢者の医療・介護サービスなど社会保障費削減で帳尻を合わせるのは避けらない。その話題が巷間、溢れ返ると、国民、特に高齢者から猛反発を喰らい解散してもボロ負けは必至」(同)

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つまり、今年後半から来年になればなるほど、解散できない環境に追い込まれるのが目に見えている。岸田首相にすれば財源論、増税論、社会保障費削減論に火がつかないうちに、2つの柱の大義名分を掲げ、選挙で信任を得ようとしているわけだ。

6月解散で岸田首相が前のめりとなる追い風は他にもある。株価の急騰だ。9日の東京株式市場の日経平均株価終値は3万2265円17銭だった。

「バブル経済以来、約33年ぶりに高値を更新した。世界情勢からして、高値維持か上昇気配です」(大手証券会社幹部)

また、ある自民党幹部は「連立政権を組む公明党との関係改善がポイントになる」と前置きし、こう続ける。

「自民党と公明党は次期衆院小選挙区の10増10減で衝突した。新東京28区に伴う候補者調整で、最終的には公明党が折れた格好だ。その反動で公明党が次の衆院選で東京の自民党候補を推薦しないとし、連立解消も取り沙汰された」

事を重く見た岸田首相は間髪入れずに動く。5月30日、公明党の山口那津男代表と官邸で緊急会談し、改めて「連立政権維持」と「東京以外の選挙区での全面協力」を確認した。そして、公明党が候補者擁立を決めている衆院埼玉14区、愛知16区について、公明党の要望に沿う調整を進める方針を打ち出した。

「自公の東京での溝はなかなか埋まらないだろうが、公明党との選挙協力の損失は最小限にとどめた。首相の電光石火の動きで、公明党との関係が緩和されたのも事実」(同)

では、すでに選挙モードに突入した衆院の解散と投票はいつか。

「解散は6月21日会期末とみられていたが、解散の国事行為に関わる天皇陛下が23日までインドネシアをご訪問する。岸田首相は会期延長し26日の週に伝家の宝刀(解散)を抜くだろう。投票日は7月23日か。7月8日は凶弾に倒れた安倍晋三元首相の一周忌が行われる。ここで自民党必勝の選挙機運は盛り上がるはず。岸田首相はそのあたりの日程も織り込み済み」(同)

自民党長老の話。

「岸田首相は野党の動向も見据えている。野党第1党の立憲民主党、躍進する日本維新の会、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会も次の衆院選準備は整っていない」

一方、自民党の森山裕選対委員長は8日の派閥会合でこう戦端を切った。

「候補者調整は来週(12日の週)でほぼめどがつく。解散は首相の決断にかかっている。常在戦場で暑い、暑い夏を乗り切ろう」

〝親ばか解散〟まっしぐら。

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