日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『ナイルティラピア』大分県別府市/春木川産~日本全国☆釣り行脚

知人の社員旅行にお邪魔させていただき、別府温泉に来ております。到着早々、誘いをくれた知人の依頼により、課長の息子さんを連れて別府競輪場脇を流れるドブ水路で釣りに興じた前回。日没とともに釣りを終え、さあ! お楽しみの時間です。


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ホテルに戻ると、すでに大広間では宴会が始まっており、宴会をひとしきり楽しんだ後は、竹瓦温泉周辺の歓楽街に繰り出し、スナックで2次会です。その2次会のさなか、ふとしたことから競輪場脇での釣りの話題になり、型のよいクロダイを見かけたことを話すと、お運びのボーイさん(オッサン)から面白い話が聞けました。


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どうやらあれはクロダイではなくティラピアのようで、「あのへんには一年中おるけん」とのことです。さらに「ティラピアなら鉄輪の春木川に大けなんがようけおるちゃ」とのこと。この話を聞いてからは〝大きなティラピア〟が気になってしまい、カラオケも身に入らず3次会のお誘いを丁重にお断りしてホテルに帰り、早々と床に就いたのでありました。


明けて翌日は6時に起床。ホテルロビーへの集合は9時50分で、貸し切りバスの出発が10時。往復で1時間かかったとして、レンタカーの返却時間を含めても1時間半くらいは竿を出せる計算です。

一投目でヒットそして良型も

昨晩、スナックのボーイさんに教えてもらった春木川のポイントに向けて車を走らせ、途中コンビニでエサ兼朝食の食パンを購入。春木川に到着し、流れに手を浸してみると、なるほど完全にぬるま湯でこれは期待できそうです。

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早速、簡単な玉ウキ仕掛けを作り、食パンを丸めてハリに掛け、堰堤下の深みに仕掛けを投じます。朝食がてらに食パンをかじりつつウキを眺めていると、程なくスゥーッと濁った水中にウキが引き込まれました。一呼吸置いてから竿を立てると、ググンッと心地よい手応えで釣れたのは、20センチほどのティラピアです。さすがボーイさん。地元情報ありがとうございます。


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ここからは仕掛けを投じればウキが沈み、時に30センチクラスも交じり、鋭い手応えを楽しませてくれます。とはいえ、ボーイさんが「大けなんが~」と言って手を広げた感じは、結構な大きさでしたから「もっと型のいいのがいるハズ」と、釣っては逃がしを続けるうちに、ひときわ勢いよくウキが消し込まれました。


ウキが十分に引き込まれ、完全に見えなくなってからあわせるとズシン! という重量感とともに、今まで以上の力強い手応えが伝わります。やっと良型が来たかと、重々しい手応えを楽しみながらリールを巻き、バシャバシャと派手な抵抗をかわして玉網にイン。今までの若い個体とは違い、黒々とした古代魚のような風格あるティラピアは40センチ弱と納得の大きさです。


時計を見るとまだ少し余裕はあり、せっかく来たのだし、最後にもう一度仕掛けを入れます。と、今度はモソーッとゆっくり沈む玉ウキ。はて根掛かりでもしたか? と念のためにあわせるとズンッ! と何かに掛かって動きません。やはり根掛かりか、と竿を煽ると動き出したような…。何か掛かっている!? さりとてティラピアのような激しい引きではありません。目いっぱい竿を曲げてリールを巻くと巻けるので根掛かりではなく、何か大きな力の抵抗を感じます。 手首より太い迫力の亀頭

よく分からないままリールを巻いてくると水面下に大きな口が見え、ガバッと浮上したのは巨大なスッポンです。こんなのもいたのかと驚きつつ、なんとか玉網に入れてズリ上げ。手首よりも太い首、鋭い爪、そして、素早く噛みつこうとする攻撃的な性質に恐怖を感じつつなんとかハリを外します。


これだけ大きいのだからスッポン鍋にしたらさぞや精もつくだろう、などと一瞬考えましたが、コレを生かしたまま貸し切りバスに持ち込みテイクアウトするのはなかなか厳しく、写真を撮ってからリリース。時計を見ると、そろそろタイムアップの時刻でもあり、他人様の社員旅行で出発に遅れるわけにはいかないので、急いでホテルへと戻ることにしました。


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後日、ティラピアを台湾風煮魚にして賞味したところ、温泉排水の川で釣った魚のわりに、臭みのたぐいはあまり感じられず美味。思いがけない珍客の登場もあり、思い出深い朝のひとときとなったのでありました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。