
『どんがら トヨタエンジニアの反骨』著者:清武英利~話題の1冊☆著者インタビュー
2023.06.05
エンタメ
『どんがら トヨタエンジニアの反骨』講談社/1980円
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清武 月刊誌の取材で4年前、トヨタのチーフエンジニアである多田哲哉さんと知り合い、こんな闊達な技術者がまだ息をしているのかと驚きました。彼らは組織のなかで抵抗に遭い、足を引っ張られ、「絶対に成功しない」と言われるが、部下と共に耐えに耐えて、協業でスポーツカーを作り上げる。「記者時代の自分と重なるところがあるのでは」とも言われますが、企業の中で働く人間は多かれ少なかれ、我慢こそが人生という毎日を送っているのではないでしょうか。大事なのは、組織のなかでどう自己実現を図り自分を貫くか。多田さんのように自分のために会社を活用し、生きてもらいたいと思いました。
清武英利(きよたけ・ひでとし) 元読売新聞編集委員。2004年より巨人軍球団代表を務め、2011年に解任。現在はノンフィクション作家として活動する。2014年『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社文庫)で第36回講談社ノンフィクション賞を受賞。――トヨタ自動車でスポーツカーを懸命に作り続けた男たちが描かれています。なぜ、彼らを取り上げようと思ったのですか?
清武 人生は短い。会社人生はもっと短い。ソニー創業者の井深大は、会社設立趣意書で「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」を会社創立の目的として挙げました。短い会社人生を、そのように自由闊達に生きていきたいものですが、会社が巨大になればなるほど、理想工場の夢と空気は失われていく。では、トヨタ自動車ではエンジニアと家族はどう生きているのか。新聞社時代に『トヨタ伝』という長期連載をしていたのですが、技術者の聖域である「技術本館」(=設計部門を集約した研究開発拠点)にたどり着けなかった悔いがあり、技術者と家族の物語を書きたいと思い続けていました。
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――読売新聞時代のご自身と重なる部分もあったのではないでしょうか。
清武 月刊誌の取材で4年前、トヨタのチーフエンジニアである多田哲哉さんと知り合い、こんな闊達な技術者がまだ息をしているのかと驚きました。彼らは組織のなかで抵抗に遭い、足を引っ張られ、「絶対に成功しない」と言われるが、部下と共に耐えに耐えて、協業でスポーツカーを作り上げる。「記者時代の自分と重なるところがあるのでは」とも言われますが、企業の中で働く人間は多かれ少なかれ、我慢こそが人生という毎日を送っているのではないでしょうか。大事なのは、組織のなかでどう自己実現を図り自分を貫くか。多田さんのように自分のために会社を活用し、生きてもらいたいと思いました。
今後のトヨタとは…
――トヨタの車は、安くて壊れないが面白みがないとよく評されます。エンジニアたちはどのような思いで開発していたのでしょう?清武 多田さんたちはスポーツカーを復活させたことで、トヨタに「エモい」イメージを付加しました。彼らは自分たちが作りたいものを作り上げただけ。EV、自動運転の時代に抗して、これが最後のエンジンカーになるかもしれない、という思いもあったはずです。
――トヨタは社長交代を発表しました。今後はどのような企業になっていくと思いますか?
清武 多田さんと私はウェブマガジン『現代ビジネス』などで発信をしているのでそちらも見てほしいのですが、1950年にトヨタは破綻と大リストラの危機から復活しています。エンジニアが理想工場で生き生きと働ける時代に戻ることが、社員や会社を輝かせ、ファンを沸かせるのだと思います。 (聞き手/程原ケン)
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