蝶野正洋 (C)週刊実話Web
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

蝶野正洋『黒の履歴書』~リタイアしない現代の“還暦”とは

先日、『ダウンタウンDX』というテレビ番組にゲスト出演した。ダウンタウンの浜田雅功さんが60歳になったということで、同級生を集めてみんなでトークするという企画だった。


ゲストは他に、出川哲朗さん、ROLLYさん、福澤朗さん、南果歩さん、香西かおりさん、勝村政信さん、市川右團次さん。それと松本人志さんも含めて、みんな同級生。俺にとっては初めましての方が多かったけど、この機会に改めて同じ世代だったんだなと意識するようになったね。


【関連】蝶野正洋『黒の履歴書』~子供たちをネット犯罪から守るには ほか

共通の話題は、やっぱり体力が衰えたとか、健康面。それぞれがエピソードトークを披露したんだけど、みんな話が長い(笑)。自分の話を始めると、オチがあろうがなかろうが、とりあえず最後まで話しきるみたいな部分も共通していたよ。


俺はプライベートでも、同級生とはほとんど会ってない。たまに昔の仲間から電話がかかってきて、同窓会でも開こうという話になり、「蝶野が仕切ってくれたら、みんな集まるから」という所まではいくんだけど、そこから何も進展しない。


現実的に同窓会をやったところで、どれだけ集まれるか分からない。体を壊してるヤツや、もしかしたら経済的な部分でヘタってるヤツもいるかもしれない。だから来られるヤツはまだマシなんだけど、それでも見栄を張り合ったり自分よりダメそうなヤツを見て安心したりで、あんまりいい会にならなそうなんだよね。


要するに今の60歳というのは、それくらい余裕がない。還暦といえば昔は定年退職する年齢だけど、いまはリタイアする人なんてほとんどいないんじゃないかな。まだまだ体も元気だし、働く意欲もあるからね。

いつまでも現役を保つには

ただ、何か違うことを始めなきゃいけないという岐路には立っていると思う。経営者とかなら別だけど、それ以外のサラリーマンだったら、どんな会社でも60を超えたらお荷物扱いになる。それまでやってきた仕事を下に譲らざるを得ないから、居場所がなくなって、早期退職を迫られたりする。

だからこそ、その地位にしがみつくよりも、いさぎよく次のステップに進んだほうがいい。還暦というのは、改めて新しいスタートを切るという年齢だよ。実際に、俺たちより上の世代でも元気な人は多いからね。


俺の一番好きな俳優はロバート・デ・ニーロなんだけど、彼が79歳にして7人目の子供が誕生したそうだ。さすがに例外かもしれないけど、すごいことだよね。


それとこの間、サッカー界のレジェンドであり、いまも鹿島アントラーズのクラブアドバイザーを務めているジーコさんと対談させてもらった。どこか雰囲気がデ・ニーロに似ていて、カッコいい人だったね。


ジーコさんはいま70歳。膝を怪我して手術したこともあるらしいけど、俺との対談の後もグラウンドに出てボールを蹴っていたそうだ。本当にサッカーが好きなんだと思ったし、気持ちが元気だよね。


いつまでも現役を保つには、好きなことをやって、何かしらの形で外に出るってことが大事だと思う。人前に出なくなると、自分の世界に入って、どんどん老けていってしまうからね。


還暦は、ゴールではない。壁に追いやられて身動きが取れないような気になるけど、そこからまた道を探すことが大事なんだよ。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。