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『ロウニンアジ&ギンガメアジ』大分県別府市/別府競輪場横産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

知人の社員旅行に欠員が出たとの理由で誘われ、大分県は別府温泉に来ております。最初に話を聞いたときには、タダ酒とタダ温泉、あわよくばタダコンパニオンなんて展開もあったりするのかしらと、一も二もなく話に飛び付いたのですが…。いざ来てみると、往路の貸し切りバスの中で知人から、「課長の息子さんが釣りをやりたいようなので連れて行くように」との依頼が。これはタダコンパニオンどころか、タダ酒すら危うい可能性があり、なんとしても夜釣りは避けたいところです。


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別府温泉に到着後は、休む間もなく指定されたレンタカー店にて車を借り受け、少年(課長の息子さん)のリクエストにてやって来たのは、別府競輪場の脇を流れるドブのような水路。ここでクサフグ地獄の中からようやくコトヒキをキャッチ、というのが前回でした。ところが、このドブ水路の実力はこんなものではなかったのです。

釣れたコトヒキをバケツに入れるべく水をくむと、驚くことにぬるま湯のような温かさです。社員旅行で毎年のように来ている少年によれば、「温泉の排水だから1年を通じてぬるま湯なのよ。もう少し潮が上げればもっと釣れそうなんだけど…」とのこと。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

そこで、すぐ隣の別府競輪場内にある〝競輪温泉〟にてひとっ風呂浴びることにします。社員旅行本隊の皆さまも今ごろ温泉を楽しんでいるのでしょうから、こちらも夕方の満潮までの時間調整を兼ねて、温泉を楽しませていただいても罪はないはず。それにしても、競輪場の敷地内にまで温泉の共同浴場があるなんて、さすがは別府温泉ですな。競輪温泉という、そのまんまの名称もなんだか好感が持てます。

さて、ひとっ風呂浴びてスッキリしたところで釣り場に戻ると、潮位も上がりよい雰囲気です。と、水路からボシュッと派手に魚が水面を割る音が聞こえました。夕方の満潮を迎えて水中の活性が上がってきているのでしょうか。

好機到来入れ食い状態

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

隣を見ると早くも少年がウキ仕掛けを準備しており、こちらも負けじと準備に取りかかります。玉ウキを付けた簡単なウキ仕掛けにエサを付け、水面に姿を映さぬように及び腰で仕掛けを流します。流れに乗る玉ウキに合わせて歩くこと数歩で、いきなり玉ウキが濁った水の中に引き込まれました。反射的に手首を返し、鋭い手応えで釣れたのはメッキと呼ばれる20センチほどのギンガメアジです。

ギンガメアジ 日本全国☆釣り行脚
ギンガメアジ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「釣れたよ~」と少年の方を振り返ると、彼も魚を掛けたようで、取り込まれたのはやはりギンガメアジ。ここからは1投1尾ペースでヒットとなり、しばしドブ水路のメッキ釣りに没頭です。釣れるのはいずれも15~20センチほどのギンガメアジ…と思いきや、釣り上げたメッキに違和感を覚えてよく見てみるとロウニンアジでした。ギンガメアジに時折交ざるロウニンアジ。若魚とはいえ2種のメッキが入れ食いとは、こんな目立たぬドブ水路ながら、さすが天下の別府温泉(の排水)。侮れません。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

そんな中「ちょっと型がいいかも」との声に少年を見やると、竿を曲げて楽しそうにやりとりをしており、ドブ水路から躍り出たのは今まで釣れていた物より一回り大きいロウニンアジ。若魚ながらに30センチ近くになれば手応えもそれなりにありますから、少年の満足気な表情を見れば付き添いのこちらも嬉しくなるというものです。

ロウニンアジ 日本全国☆釣り行脚
ロウニンアジ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

成魚では1メートル、重さでは50キログラムを超えるほどに大きくなるロウニンアジゆえ、今回はいずれもがお子様サイズです。とはいえ、いきなり水中にウキを引き込むアタリや、右に左に鋭く走り回る手応えは実に面白いもの。ついつい夢中になるうちに辺りは暗くなり、気付けば宴会スタートの時刻を過ぎております。このままではタダ酒にありつけぬと、急いで竿を畳みホテルへと戻ることにしました。

温泉メッキに臭みナシ

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、入れ食いの中から型のよいものを2尾ずつ持ち帰り、煮付けと塩焼きにして賞味したところ、前回のコトヒキで感じられたドブ臭はほとんどありません。どちらもアジ科特有の旨味が感じられて美味。ドブといっても天下の別府温泉の排水ですから、ひょっとしたら飲泉のような効果もあるのかもしれません。

ところで、水路到着時に見た数尾のクロダイのような魚影がずっと気になっていたのですが、宴会後の2次会で行ったスナックにて面白い話が聞けたので、これはまた次回ということで…。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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