監督／ジェラルド・ジョンストン 出演／アリソン・ウィリアムズ、ロニー・チェン、ヴァイオレット・マッグロウほか 配給／東宝東和

全米はもちろん、日本でも予告動画が解禁されると、若者たちの間で「ダンスシーンが不気味だけど、かわいい♡」とバズりまくりの映画『ミーガン』。確かにミーガンの動きはかなり奇妙で、短い予告シーンだけでバズりまくることにも驚き。ただ、ちょっと待って！　この作品には、もっと深いメッセージが隠されているのではないかと冷静になって考えてしまいました。

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両親を交通事故で亡くした9歳のケイディは、ほとんど付き合いのない叔母のジェマに引き取られ、一緒に暮らすことになります。知らない家で目覚めるのはツラいですよね。ケイディは悲しみに暮れて、ジェマの言うことにも納得いかない様子。それは、ジェマがワーカホリックであることと同時に、新しいおもちゃ開発のプレゼンの日が近づいてるから。納得！　こんなときってありますよね。

お互いが気持ちの中を探り合いながら会話をする中、ケイディの寂しさを少しでも癒やすためにAIロボットの『ミーガン』を作ってしまうジェマ（作れることがすごい！）。ただ、計算ミスだったのはケイディがミーガンと大の仲良しになってしまい、さらに大人たちの言うことを聞かなくなってしまったことです。

AIによって近未来を想像させる

いくら9歳で両親を亡くしたからって、とにかく大人に対する態度が悪すぎるケイディ。そしてミーガンが勝手に行動をすることになるのも大きな誤算。ミーガンは「何があってもケイディを守る」というプログラミングによって、ケイディに従ってしまうからです。

そうなんです。ただ単にホラーサスペンスではなく、近未来を想像させる、とってもリアルな作品。

近年、AI開発の進化はすさまじくて、ミーガンとまではいかなくても、AIのおもちゃ、あるいは企業のためのロボットは既に存在します。とにかく本作で怖かったのは、人間が思ったことと異なる答えを出したり、人間よりも優れていたりすること。例えば、大人が子供に言ったことを記憶していて、言い返すとき、その大人に向けて使うなど、その学習能力のすごさに恐怖。これはダンスシーンのキュートさ以上に、いろいろ考えるべき映画かも。

人間はロボットに仕事を奪われ職を失う時代。AIが映画の脚本を書けるところまで来た。未来の人間はどうなる？　ミーガンがあっちこっちに現れないことを祈りながら、1回は喋ってみたいと思っている私。完全に脳内でミーガンがバズりまくりです！　今年のハロウィーンにミーガンがいっぱい現れそう…怖っ！

LiLiCo 映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。