『おりたたみ自転車と旅しています』KADOKAWA/1760円
星井さえこ(ほしい・さえこ)
都内メーカー勤務の工業デザイナー。商品企画からプロダクトデザイン、CAD設計まで幅広く携わる。左利き。背が高い。体育はずっと3。海産物が苦手。社会人になりたての頃に購入したおりたたみ自転車で、自転車を連れた旅の面白さに目覚める。
――おりたたみ自転車で旅をしようとしたきっかけは、なんだったのですか?
星井 インドア生活になりがちだった私生活に少しでも運動を取り入れようと思って、自転車を買ったのが始まりでした。おりたたみ自転車を選んだのは、見た目がかわいかったことと、室内に保管したかったことが大きな理由でした。そうやって始めた久しぶりのサイクリングが思いがけず気持ち良く、じきに近所だけでは物足りなくなって、自転車を電車に乗せていろいろな場所で旅を楽しむようになりました。おりたたんで専用の袋に入れれば手荷物として電車に持ち込めることが多いので、とっても便利だなと思います。
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――これまで、旅先でのトラブルなどはありませんでしたか?
星井 パンクは過去に何度か経験しています。一番大変だったのが、埼玉県の某所で前後の車輪が同時にパンクしたときです。道路の小さな隙間に、ちょうどタイヤの両輪がハマってしまったんです。全く走れなくなってどうしようかと途方に暮れたのですが、徒歩で1時間くらい先に自転車屋さんがあることを地図で発見。頑張って押して歩いたのですが、パンクした自転車は本当に厄介で、暑い時期だったこともあり本当に大変でした。それからは、自分でもパンク修理ができるよう修理セットを持ち歩いています。
海外でも自転車旅を
――各地を回られていますが、これまで一番印象に残った旅は?
星井 広島県と愛媛県を結ぶしまなみ海道ですね。瀬戸内海を橋で縦断する道なのですが、自動車だけでなく自転車でも通れるんですよ。島々を渡りながら眺める瀬戸内の穏やかな景色と海風は心地良いもので、自転車好きの人にとってまさに聖地。本当にお勧めです。また、大変さという点では、今回の本で取り上げた乗鞍岳が印象深いです。乗鞍岳は標高3000メートル級ながら、自転車で山頂近くまで行けるんです。しかし、かなりの上り坂で、後半はほとんど押し歩き。普通に歩いて登山するよりも時間がかかってしまいました。でも下り坂は最高に気持ち良かったです(笑)。
――これから行ってみたい場所はありますか?
星井 ドイツや台湾など、海外にも行ってみたいですね。歩きと自転車とでは見える景色が違うように、きっと海外旅行でも自転車に乗ると、違った景色が見えるんじゃないかなと思います。自転車旅というと割とハードな旅を思い浮かべがちですが、手軽にお出かけできるので、もっと多くの人に自転車との旅の楽しさを体験してほしいなと思います。
(聞き手/程原ケン)
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