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公明が自民と“全面戦争”で連立解消!? 創価学会の「集票力」低下で焦りか

Kues
(画像)Kues/Shutterstock

次の衆議院選挙は小選挙区で議員数の増減(10増10減)がある。当然、政党間によっては候補者調整が出てくるわけだが、その候補者調整をめぐり、連立政権を組む自民党と公明党が全面戦争に突入しそうな雲行きだ。自民党関係者からは「公明党が自党の候補者をゴリ押ししている。度がすぎれば連立解消もやむを得ない」という主戦論も飛び出すほど深刻だ。

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自民VS公明の抜き差しならない構図が顕著に表れたのが、東京都内に新設された28区(練馬区東部)だ。

「東京28区はザックリ言うと旧9区の一部。メインの練馬区を東西で9区と28区に区割りしたわけです。もともと、旧9区は元自民党の菅原一秀元経産相の地盤で長年、自民党の牙城だった」(自民党都議)

菅原氏は公職選挙法違反が明るみになり、2021年に東京地検から略式起訴され議員辞職した。前回21年の総選挙では立憲民主党の山岸一生氏が当選した。次の総選挙で自民党は議席奪還を目指しているが、9区、28区とも支部長=候補者はまだ空席のままだ。

「調整の遅れの間隙を縫って、強引に候補者擁立に動いているのが公明党です。候補としては河西宏一衆院議員(比例東京)や高木陽介政調会長らの名前が挙がっている」(同)

しかも、公明党の石井啓一幹事長は自公の幹部会で「28区で候補者擁立できないなら、東京で公明党は自民党候補に推薦を出さない。組織としての最終決定だ」と突き付けたという。

「これまで公明党候補がいない選挙区では、公明党の支持母体である創価学会員が自民党候補に投票していた。これが石井幹事長の言う『推薦』の強みだ。もちろん、公明党の推薦で多くの自民党候補が接戦を勝ち抜いたことは否定しない。しかし、28区の擁立を容認しないなら東京の全小選挙区で自民党候補へ推薦を出さないというのは脅しのようなもの。とても連立を組む相手とは思えない」(自民党関係者)

創価学会高齢化での落ち込み

それにしても、なぜ公明党は、ここまで強硬なのか。

「理由は二つある。日本維新の会の躍進が一つ。もう一つは創価学会の集票力の衰え。要は焦りと危機感です」(選挙アナリスト)

まず、4月の統一地方選で日本維新の会は選挙前より地方議員議席を1.5倍以上も増やし、700議席を突破するほどの大躍進を遂げた。とりわけ、維新のお膝元である大阪では府議会に加え、大阪市議会でも悲願の過半数の議席を獲得した。

「過半数に達する前の維新は、大阪都構想推進などでその都度、公明党に協力を求めてきた。その見返りとして、公明党が選挙区議席を持つ衆院の大阪4選挙区と兵庫2選挙区で、維新は対立候補を擁立しなかった。だが、もう公明党への配慮は必要なくなった。次の総選挙は大阪、兵庫の6選挙区にも維新候補を擁立すると明言している。そのため公明党は金城湯池、いわゆる難攻不落の関西選挙区で議席消失の危険性が増している。議席数確保の対策として、公明党の勝てそうな新選挙区が東京28区なわけで、どうしても譲れないのです」(同)

公明党の危機感は相当なもの。他の衆院小選挙区でも自民党の了承を待たずに、ドンドン候補者擁立を発表している。新設の埼玉14区には石井幹事長、愛知16区は伊藤渉政調会長代理、東京29区・岡本三成元財務副大臣といった具合だ。

「集票マシーンとなる創価学会員の高齢化などにより、その力が衰えてきた。昨年の参院選比例票は、目標の800万票を大幅に下回る618万票まで落ち込んだ。先の統一地方選では全国各地で計1555人を擁立し全員の当選を目指したが、98年の党の再結成後、最多の12人が落選した。それが如実に表れたのが練馬区議選だった。前回19年には11人が立候補し全員当選を果たした。今回も11人立候補したものの、現職4人が落選した。公明党内では〝練馬ショック〟と言われ、動揺が広がっています」(全国紙政治担当記者)

足立区議選で公明「第1党」

先の統一地方選で練馬区の有権者は4年前より増え、投票率もアップした。

「4年前の練馬区議選では、公明党の当選者11人中、トップは4502票、ビリは3177票で総得票数は約4万票だった。だが、今回は公明党の当選者トップが4433票、ビリ当選者は2947票だった。4人の落選者を含めての総得票は約3万5000票。投票率がアップした練馬区だけを見ても、創価学会の集票力が落ちているのは明らか。この練馬ショックは全国へ波及するとみられ、公明党としてもなりふり構っていられないんです」(民放局都政担当記者)

公明党の選挙区擁立の強硬な姿勢に自民党内では「連立解消。自民党と連立政権を組みたい政党は他にもある」と強気の意見も噴出している。

「他の政党では公明党が担う役割は絶対できない。5月21日投開票の東京・足立区議選で公明党は現有13議席を維持し、自民党(12議席)を抜き第1党になった。連立解消すれば、自民党は政権から確実に転げ落ちるだろう」(公明関係者)

自公連立政権は20数年で〝破局〟を迎えるのか。

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