
例年なら1月スタートのNHK大河ドラマが、今年はコロナの影響から2月14日放送開始。ガイドブックの『青天を衝け 前編』(NHK出版/1100円+税)が、ようやく発売されたので紹介したい。
主人公は渋沢栄一。幕末~明治維新を駆け抜け、新時代を築いた英傑の1人である。再来年に刷新される新1万円札に、肖像写真が起用されることも決まっている。日本の「資本主義の父」と呼ばれる人物だ。
演じるのは俳優の吉沢亮。渋沢は最後の江戸幕府将軍・徳川慶喜に仕えた幕臣だったことから、慶喜も登場する。こちらを演じるのが元『SMAP』の草彅剛なのも話題だ。
ガイドブックの内容は、出演者のインタビューにはじまり、ドラマの時代背景解説、あらすじなど盛りだくさん。撮影ロケ日記のコーナーには舞台裏のオフショットもあり、ドラマ本編をよりいっそう理解できる案内書として楽しめる。
コロナ禍の現代と重なって見える
渋沢栄一は、約500の企業と約600の社会事業団体の設立に関わったというが、もともとは武蔵国(埼玉県)の豪農の出身で、侍ではなかった。それが幕末の尊王攘夷運動に身を投じ、やがて敵対していたはずの幕府のために働く。明治に入ると、新政府の官僚を経て民間実業家へと転身し、先行き不透明な時代を変転を重ねて生き抜いた。
奇しくも、新型コロナウイルスによってこれまでとは違う世界を生きざるを得なくなった現代と、渋沢が活躍した激動期が重なって見える。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)
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