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蝶野正洋『黒の履歴書』〜高齢者のため機械や社会システムに変革を

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web 

数年前までテレビで活躍していたタレントが認知症となり、万引きを繰り返して逮捕され施設に入居したという話があった。独居していたことで症状の進行が分からず、一時は行方不明ともいわれていたようだ。

認知症だったとすると、万引きをしても本人には罪の意識がなかったのかもしれない。別にそこまで症状が進んでなくても、導入が進んでるセルフレジは、高齢者は使い方が分からなくて無意識に万引きしちゃうこともあるんじゃないかな。

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こうなったら70歳以上で、ある条件を満たした人は、万引きなどの罪を軽くするような法律を作ってもいいかもしれない。18歳以下の「少年法」があるなら、70歳以上の「老人法」があってもいいという考え方だ。

無意識に万引きしてしまう可能性がある高齢者に対して、周りは外出しないようにしてしまうことが多い。そうなると家に引きこもってしまい、余計に認知症が進むんじゃないかと思うんだよ。歩かないと筋力も退化して老化に拍車がかかるしね。だから、そのあたりをうまくバランスを取れるような法律があるといい。

それと少年刑務所みたいに「老人刑務所」を創る。そこで規則正しい生活を送れば、身体機能も改善されるし、健康になるかもしれない。まぁ、あんまりいい施設にしてしまうと、わざと罪を犯すような高齢者が増えるかもしれないけどね。

自動車事故も同じで、高齢者が運転を誤り暴走してしまうというケースが増えている。70歳以上は免許の更新時に高齢者講習を受けるという取り組みが始まってるけど、あまり効果を発揮していないように思える。

車も高齢者専用使用に…

講習では認知機能の検査もするそうだけど、最近はクルマ自体がいろいろ変わっているので、その対応もしたほうがいいよね。外国車だとワイパーとウインカーの位置など仕様が変わってくるし、最近増えている電気自動車も運転感覚がこれまでのガソリン車とはまったく違う。最近、俺もハイブリッド車に乗ることがあったんだけど、アクセルとブレーキの幅とか微妙なポイントが違っていて、これは操作を間違えてしまうかもという恐怖心があった。

いまの高齢者たちは、年老いてから新しい機械や社会システムがどんどんできるから、覚えなきゃいけないことが多い。スマホだって、使いこなせないから詐欺に遭ってしまう。若い世代はデジタルだけを覚えればいいけど、高齢者はアナログが身に染み込んでるうえに、改めてデジタルを学ばなきゃいけないから、実質的な負担が大きいんだよ。

でも、スマホなら簡単操作の「らくらくホン」がある。だからクルマも70歳以上限定の「らくらくカー」を開発したほうがいいね。メーターを見やすくして、機器のボタンも大きくして、アクセルとブレーキを踏み間違えないような配置にする。あとはバンパーとかクルマの外側にもエアバッグをつけて、どこかにぶつけてもケガしないようになってるとかね。それで最高時速は30キロぐらいに抑える。そうなると道路も専用レーンになってしまうけど、高齢者の多い地域だったら導入してもいいかもしれない。

高齢者に対し警告するだけでは限界がある。高齢化社会を真剣に考えるということは、社会のシステムごと考え直していかなきゃいけないということだからね。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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