社会

太平洋プレートが活発化!? 関東・中部地方で“巨大地震”恐怖のカウントダウン

Ollyy
(画像)Ollyy/Shutterstock

ゴールデンウィーク明けの房総半島を突き上げるような揺れが襲った。5月11日午前4時16分ごろ、千葉県木更津市で深さ40キロを震源とするM(マグニチュード)5.2の地震が起き、最大震度5強を観測した。

同市に住む男性は「ドンと下から突き上げるような衝撃後、立っていられないほどの横揺れが起きた」と言うが、市内では住宅の屋根瓦が落下したり、ビルの窓ガラスが割れる被害が発生。また、千葉と神奈川県では転倒するなどして8人がけがを負い、首都圏全体で約3000台のエレベーターが緊急停止したという。

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地震調査委員会の平田直委員長は、原因を「今回も基本的にはプレートの沈み込みに伴って起きる地震の一つ」と語ったが、実は同地震で見逃せないのは太平洋プレートの動きなのだ。

科学ライターが言う。

「日本列島は太平洋、フィリピン海、北米、ユーラシアと名の付く四つのプレート上に位置しているが、東から太平洋プレートがフィリピン海プレートと陸側の北米プレートの下に沈み込み、大きな圧力をかけている。一部では、今回の地震は活発化している太平洋プレートが原因との見方もあるのです」

首都をも揺るがした千葉の地震の6日前には石川県で震度6強の直下型地震が発生しているが、この論に従えば太平洋プレートに押されたフィリピン海プレートが、さらに日本海側にまで張り出した北米プレートを刺激。能登半島を揺らした可能性もあるという。

また、石川と千葉の地震の後には北海道日高地方東部(11日・M5.4)、宮古島近海(同・M6.1)、トカラ列島近海(13日・M5.1)と地震が続発。特にプレートがせめぎ合う首都圏で、大地震が起きる可能性も指摘されているのである。

M7クラスが24時間以内に4回も

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏がこう語る。

「ただ、残念ながらその影響は今の地震学では分からない。東京の地下には東から太平洋プレート、南からフィリピン海プレート、北から北米プレートが交差しているが、どんな構造になっているかが不明だからです。だがそれもあって、こうした(千葉クラスの)地震が今後2〜3回起きる可能性は十分ある」

もっとも、恐ろしいのはこの続いて起こる地震だとの指摘もある。地震史に詳しい科学誌の編集者が言う。

「首都圏直下型として有名なのは大正時代に起きた関東大震災(M7.9)ですが、実はこの地震では24時間以内にM7クラスの余震が関東・中部圏で4回も発生している。太平洋プレートの活発化で相当ひずみがたまっているとすれば、この手の余震が頻発する可能性も否めないのです」

実際、建物の倒壊や火災で10万人以上の死者・行方不明者を出した関東大震災は1923年9月1日午前11時58分に起きたが、発生の3分後に東京湾北部を震源とするM7.2の地震が発生。さらに5分後には山梨県東部、午後0時47分には山梨県中西部にM7クラスの地震が起き、翌2日の午前11時46分には千葉県勝浦沖を震源とするM7.6の大地震が発生したほどなのだ。

「つまり、大きな地震が起きてプレートの圧力バランスが崩れると、さらに地震が誘発される。関東大震災では24時間以内に震度5弱以上の地震(M7クラスを含む)が15回も発生したが、千葉の地震も発生から日にちは経っているものの、巨大余震の発生が懸念されているのです」(同)

専門家らがこうした事態を警戒する原因は前述通り太平洋プレートの活発化が大きいが、実は他にも不気味な理由が存在するという。

「それが、2011年に起きた東日本大震災の〝爪痕〟です。M9を記録した同地震では、日本列島全体が東へ約5.3メートル動いたといわれている。相模トラフ沿いを震源とする関東大震災の発生周期は、過去の例から『200年に1度』と推定されているが、そのズレが通常は200年かけてたまるM8相当のエネルギーの蓄積を早め、数十年から100年近く発生を前倒しさせる確率が高いと指摘されているのです」

今回の揺れが南海トラフにつながる!?

さらに、これに加えて今年は関東大震災から100年目。「200年に1度」といわれる地震周期の半分に達したこととズレによる発生時期の前倒し論が相まって、次の発生が間近であることが警戒されているのである。

「そのため、大きな余震より首都直下型の本震が先に来る可能性もある。太平洋プレートとフィリピン海プレートが与える地震エネルギーのたまり具合と、圧力に耐えられない部分がどこになるか次第だが、首都圏が危険な状態にあることは間違いないのです」(科学ライター)

また、前出の島村氏は「次の首都直下地震はM8クラスかもしれないといわれている」「発生が間近なのは確かだが、いつになるかは分からない」と語るが、首都直下型地震や大きな余震が起これば、さらにプレートにかかる圧力はひずむはず。そのため、この揺れが南海トラフ地震につながる可能性も否めないのだ。

「1854年に南海トラフを震源とする二つの地震(安政東海地震=M8.4、安政南海地震=M8.4)が起き、翌年に安政江戸地震(M7)が発生したが、次回も連動して起きる可能性は十分にある。南海トラフの延びる太平洋沿岸では、年明けからクジラやイルカなどの異常行動も多数報告されており、もはやどちらが先でもおかしくない状態だからです」(同)

今後、さらなる警戒が必要なことは確かなのだ。

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