監督・脚本/飯塚健
出演/中村倫也、伊藤沙莉、日村勇紀(バナナマン)、柄本時生、井上和香、設楽統、山里亮太ほか
配給/ハピネットファントム・スタジオ
作品のタイトルを聞いて〝えっ!?〟って思いながらも興味を持ったのが今回の1本。『宇宙人のあいつ』なら、宇宙人役は中村倫也。〝どういうこと!?〟と思わず吹き出してしまいましたが、実際に作品を見たら、もっと笑ってしまいました。
コメディー映画の中には、冒頭こそ勢いあるけど途中から中だるみ気味になるものが多くあります。しかし、本作はず~っと面白い。宇宙人である中村倫也の地球での生活がリアリティーに溢れていて、散りばめられた伏線が、ちゃんと回収されていくのも心地いい。
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日村勇紀、中村倫也、柄本時生、伊藤沙莉。とにかく、この4人の空気感とセリフの間が最高。食卓での納豆のシーンなど、長年一緒に暮らしてきた〝家族ならでは〟な感じがものすごく伝わってきます。
4人が家族と聞いて驚いたあなた! そうなんです。真田家の長男・夢二役に日村勇紀。頼りない三男・詩文役を柄本時生、しっかり者の長女・想乃役を伊藤沙莉、そしてそして3人がずっと兄妹だと思い込んでいた中村倫也演じる次男・日出男は、実は宇宙人だったという衝撃的な展開。この布陣を聞いただけでも、作品の面白さは伝わるはず。
展開のハチャメチャさも小気味よい
しかし、日出男にも23年生活した地球から去るときがきます。理由は、宇宙の1年が地球の23年だから。そんな意味不明なところも、映画を見ていると何だか納得してしまうから不思議。しかも、それだけでは終わらないのがこの映画の素敵なところ。〝家族〟にとって地球最後の大切な時間だというのに、日出男の口から衝撃の発言が飛び出す。それは1人、土星に連れていかなければいけないということ。〝えっ!? どんな展開だよ〟と、予測不能の小ネタ、ツッコミどころが満載なのです。
もともとこの作品は、私が大好きな監督、飯塚健が、中村倫也と伊藤沙莉とのドラマ制作がきっかけで、「オリジナル脚本で映画を作ろう」と約束したのが始まり。そこに、一緒に仕事をしたことがある『バナナマン』の日村勇紀と柄本時生が加わったことで、〝絆〟をテーマにしようと思ったそうです。飯塚監督は今回、脚本も担当しています。
4人ともバラバラな個性が、いつの間にかしっくりと馴染んでいくのがたまらない。そして私たち人間は、大切なことに気付くために宇宙人に教わらないといけないのかも…と、思ってしまう。本当は疑問に思わないといけない所ですが、まさに、この映画のマジック! 最高に楽しかったから納得するしかない!
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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