福岡県沖の周防灘で〝黒いダイヤ〟と呼ばれるナマコを620キロ以上密漁したとして、門司海上保安部(北九州市門司区)などは4月24日、山口県宇部市の漁師ら5人を漁業法違反容疑(特定水産動植物の採捕など)で逮捕したと発表した。
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「ナマコ密漁で逮捕された5人の内訳は漁師の家族3人、あと2人は仲買人です。漁師らは船で丸1日以上逃走の末、逮捕される大捕り物だった。3月には香川県三豊市沖でナマコを密漁したとして香川県在住の漁師らが逮捕されている。事件の背景には中国のナマコ需要拡大があり、ナマコの密漁は暴力団の資金源にもなっています」(全国紙社会部記者)
日本でナマコは、酢の物や珍味の〝このわた〟で知られているが、中国ではナマコ料理が絶大な人気を集めているという。
「海から水揚げされたナマコを乾燥させた『乾しナマコ』は中国では『海参』(ハイシェン)と呼ばれている。名前の由来は〝海の朝鮮人参〟。日本産の天然ナマコは質がいい。中国では高級食材や健康食品、石鹸にも使われていますよ」(フードライター)
価値ある“黒いダイヤ”
日本のナマコ生産量は、1968年に全国で1万3000トンだったが、20年は6100トンと半分以下に激減している。生産量1位は北海道で2300トン、2位ほ青森県800トン、3位山口県500トン、4位兵庫県・大分県250トンだ。
「ナマコの1キロ当たりの卸売価格は、全国平均で01年の623円から21年は2868円と20年で4倍以上も急騰している。暴力団が資金源にするナマコ密漁は『金の生る木』だから『黒いダイヤ』なんです」(警察関係者)
24時間以上も船で逃走し逮捕された漁師は「借金などによって生活が苦しかったために密漁した」と容疑を認めている。
「これまでは漁業者以外の検挙数が圧倒的に多かった。暴力団関係者だけでなく、海の資源で生計を立てている本業の漁師まで生活に困って密漁に手を染めるというのは、深刻な事態ですよ」(漁業ライター)
世知辛い世の中だ。
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