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『クロダイ』神奈川県横浜市/横浜駅前産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

今年は桜の開花も早く、年々気温の上昇が早くなってきているように感じます。5月に入り、早くも初夏を思わせるような陽気の日もあったりして。こうなると急がねばならぬのが歓楽街のドブ川の釣りです。渓流釣りやアユ釣りと違って、ドブ川のクロダイ釣りに禁漁期間などがあるわけもないのですが、気温の上昇とともにゴキブリと遭遇する危険性が高まり、特に大都市ではこの確率が跳ね上がります。

本格的に暑くなり、ゴキブリの活性が上がる前に楽しんでおかねばと、向かったのは神奈川県は横浜市、横浜駅西口の歓楽街を流れる帷子川です。周辺には大型商業施設や飲食店、そして接待を伴う飲食店など多くの店舗が密集しており、およそ釣り場という雰囲気ではありませんが、ひそかにクロダイの魚影が濃かったりします。加えて、ややモラルに欠けるエリアとあって、川沿いには飲み残しの缶ビールや食べ残しのおつまみなどが放置され、ゴキブリの虫影も濃かったりもします。魚影は濃けれど虫影も濃い。クロダイもゴキブリも好きな方にはたまらない釣り場かもしれませんが、ゴキブリが苦手なワタクシには悩ましい釣り場と言えましょう。

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日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

日も落ちた夜の横浜駅西口(相鉄口)に到着。駅前から続く五番街は、酔客の往来でにぎわい、ガールズバーのかわいらしいお嬢さんが立つ橋を渡ると、川沿いでは缶ビール片手に、アウトドア晩酌を楽しむ方がチラホラ。そんな中、安物のコンパクト竿を取り出し、準備に取りかかります。

水中は活性高め橋脚で違和感

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

今回の仕掛けは、市販のメバル用胴突仕掛けです。狙いはクロダイですが、このメバル仕掛けのあんばいが実によく、仕掛けの下に六角8号のオモリを取り付けて完了。エサのアオイソメをハリに掛け、静かに足下へと仕掛けを落として護岸の際を探って行きます。と、ココンッと小さなアタリがありましたがハリには掛からず。仕掛けを上げるとエサが半分ほど取られており、おそらくはダボハゼの類いの仕業でしょう。釣れずとも水中の高活性が感じられるのは嬉しいこと。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

しばらく探り歩くうちに、橋の架かる箇所にさしかかりました。今回の帷子川に限らず、こういった両岸コンクリート護岸かつ、ストレートな流れのドブ川は魚の付き場に乏しいものです。そんな中で橋脚は間違いなく一級ポイント。慎重に攻めるべく一旦仕掛けを上げて、エサを動きのよい新しいものに付け替えます。

いくら場荒れの少ないドブ川とて、相手は警戒心の強いクロダイ。「これは一発勝負やなぁ」などと独りごち、橋脚に付着した貝殻からイソメがポロリと落ちるさまを思い描きながら、ゆっくりとエサを沈めていくと、何となく沈み方に違和感があるような…。と思うや否やゴツゴツッというアタリに続いてグィーッと竿先が引き込まれました。

年無しゲットも関心は釣り<パブ

クロダイ
クロダイ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

大型に備えてリールの逆転スイッチを切ってから合わせると、ズシンッと重量感が伝わるとともに力強い抵抗で橋の下へと突っ込みます。ハリス1.5号のメバル仕掛けゆえ無理はできませんが、さりとて橋脚の隙間に潜り込まれるわけにもいきません。切れない程度の強気なやりとりで、だましだまし弱らせ、ようやく水面に現れたのは良型のクロダイです。

あまり暴れさせぬよう玉網に誘導して無事確保し、護岸に上げてメジャーを当てると51センチの年無しサイズ。もうこの1尾で十分満足となり、まだまだ時間はあるものの竿を仕舞って、先ほどから激しく気になっていた、釣り場すぐ後ろの〝パブ〟にチョイと寄り道をすることにします。

もう釣りなんてどーでもよくなり、クロダイを遥かに上回る満足感に満たされて恍惚のうちに帰宅の途へ就くこととなりました。

クロダイの刺身
クロダイの刺し身 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、現実に戻り帰宅後はクロダイで晩酌です。刺身を一かけら、口に入れると白身の甘さが感じられ、意外とイケるか…と思いきや、特有の青臭いドブ臭が口の中に広がります。これはアカン…。噛むほどに広がるドブ臭をハイボールで流し込んで完食。

でも、これでいいんです。狙い通りにクロダイが釣れて、これで刺身まで美味などというのは、ぜいたくでバチが当たるというものです。クロダイの力強い手応えを思い返し、また行きたいなぁ…などと夢心地のうちに眠りについたのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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