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阪神・岡田監督の発言は“パワハラ指導”!? ゆとり世代選手には逆効果か

阪神甲子園球場
阪神甲子園球場 (C)週刊実話Web

5月11日時点での話だが、今年の阪神は「3連敗」がない。30試合を消化して16勝13敗1分け、首位DeNAとのゲーム差は3。昨季の開幕9連敗とは大違いだが、岡田彰布監督の「5月に入ったら、ある程度やっていかなアカン」なる発言を、周囲が脅威に感じ始めているという――。

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「発言の真意は、ペナントレースが始まった3、4月は選手の状態を見て、5月に『打順、先発ローテーション、継投策』などを必要に応じて変えていくというものです。選手を見極め、余力を持った状態で首位争いをしているので、今年の阪神は本当に強いんだと思います」(ベテラン記者)

だが、この「強さ」が岡田監督の〝生命線〟でもあるのだ。

目下の課題は、「正捕手問題」と「6番右翼手」。岡田監督は「正捕手は梅野(隆太郎)」と言い切ったが、攻守ともに不調。打率9分5厘と「1割」を切ってしまった上、「坂本誠志郎がマスクをかぶった日は負けない」という不敗神話までできてしまった。

「エースの青柳晃洋が1勝3敗、西勇輝も5試合に先発してまだ1勝しか挙げていません。期待の西純矢、才木浩人が二軍落ちし、守護神の湯浅京己も『WBC疲労』で調整中。たいていのチームなら、下位に低迷しているはずです。ところが3年目の村上頌樹と現役ドラフトで移籍してきた大竹耕太郎が救世主となり、その2人が投げた試合でマスクをかぶったのが、坂本なのです」(スポーツライター・飯山満氏)

すべての決定権は監督に

青柳、西とバッテリーを組んだのが梅野なのだ。

担当コーチから「坂本のスタメンを増やしてみては」「青柳と坂本を組ませては?」などの進言があっても良さそうなものだが、今の阪神には「それは出来ない」という。

「すべて岡田監督が決めています」(球界関係者)

こんなこともあったそうだ。阪神OBなどがメディア取材でグラウンドに下りてきたときのことだ。

平田勝男ヘッドコーチを見つけて声を掛けたが、返事をしてもらえなかったという。すると、小声で「今、監督がいるから」と返してきたそうだ。

「岡田監督が見ているだけで『緊張感』が漂うんです。それがチームのレベルアップにつながったのは事実ですが、コーチ陣はどんな質問が監督から来るのか、的確に答えなければと緊張していました。今の若い選手は精神的にも疲れていました」(在阪メディア記者)

この緊張感を評価する声も多い。しかし、不振は青柳や梅野たちだけではない。

4番の大山悠輔は開幕直前まで絶不調で、佐藤輝明も一時は打率1割台でスタメン落ちも経験。岡田監督に「萎縮した」との指摘もないわけではない。

「今時の若者は怒られたら、すぐにパワハラだのと騒ぎます。野球とビジネスの世界は違いますが、いわゆる『ゆとり世代』『Z世代』と称される今の選手たちは、岡田監督の厳しさにビックリしたと思います。OBの中からも『これが一般の会社だったら大変なことになっていた』との声も聞かれました。ベンチ内にデータを持ち込むことも許さず、『頭の中に入れておけ』と叱っていましたし」(同)

こうした岡田監督の厳しさ、野球観が、阪神の正捕手問題に影響していた。

「岡田監督は、坂本の調子が落ちてきたときに梅野が調子を取り戻している保証はないとし、坂本が好調なうちに梅野に立ち直るきっかけを与えているんです」(前出・球界関係者)

ゆとり世代には響かない助言か…

うっかり、「坂本を」なんて進言するコーチがいたら、「ペナントレースは長丁場」と逆に叱られそうだ。

また、「6番右翼手」が決まらない。ドラフト1位ルーキーの森下翔太でスタートしたが、こちらは試合数を重ねるごとに打撃成績を落とし、二軍降格。その後、井上広大、小野寺暖、J・ミエセス、板山祐太郎らを起用してきたが、現在も固定はしていない。

「試合前の状態を見て、判断しています。結果を出した選手は使って欲しい一心ですが」(同)

岡田監督の野球観を理解できた選手はともかく、叱られたことのない若手は立ち直るまで、ちょっと時間が掛かりそうだ。

「技術的な指導はコーチに任せていますが、試合中、キツい助言もします」(前出・在阪記者)

たとえば、凡打でベンチに帰ってきた選手に、「ナニここで引っ張っとんねん? オマエの打球、右方向がいちばんええんと違うか?」と。叱られた側はビックリするが、実際のところ、右方向に強い打球を飛ばせるかが、その選手の好不調のバロメーターだったという。

その後、打撃担当のコーチを呼んで、「ちゃんと教えているのか?」とも叱るそうだ。

「第一期政権下でのことです。当時は予告先発制ではありませんでした。先発投手の情報が漏れているとの疑惑が流れ、岡田監督は味方コーチにも本当の先発を言わなかったこともありました」(ベテラン記者)

勝利に対する執念だろう。岡田監督は宿敵巨人へのライバル心も口にしていた。阪神が忘れかけていた闘争心であり、それを支持する声も多い。だがその思いが強すぎて、ベンチにはいつも緊張感が張り詰めている。

ゆとり世代が経験したことのない環境…。勝っているうちは問題にならないだろうが…。

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