3月28日に死去した世界的な音楽家・坂本龍一さん(享年71)は、亡くなる数日前に家族や医師に「つらい。もう、逝かせてくれ」と頼み込むほどだったという。坂本さん以外にも、凄絶な闘病の末に旅立った著名人は多い。
1985年に中山美穂や南野陽子らと同時期にデビューした本田美奈子さん(享年38)。デビューイヤーに日本武道館でコンサートを開催するほどの抜群の歌唱力で、またたく間にトップアイドルへの階段を駆け上がった。
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清純派のアイドルがもてはやされた時代に〝へそ出しルック〟のセクシーな衣装で登場し、『1986年のマリリン』でブレーク。女優業やタレントにもシフトしたが、人気が陰り始め、活路を「ミュージカル」に求めた。
「世界的に有名な作品『ミス・サイゴン』のオーディションに一般応募し、1万人以上のライバルたちの中から主役の座を勝ち取ったんです。これ以降、ミュージカル女優として確固たる地位を築き、代名詞である『アメイジング・グレイス』で知られるようにクラシック音楽にも挑戦。独自の路線を切り拓いていました」(芸能記者)
「苦しいのはもう嫌」
そんな美奈子.さんに異変が起こったのは2005年1月のこと。レコーディングの最中に不調を訴え、医師の診断を受けたところ、「急性骨髄性白血病」であることが判明したのだ。
即日入院し、「無菌室」での生活を余儀なくされた美奈子.さん。抗ガン剤治療の副作用で髪の毛は抜け落ち、バンダナ姿がトレードマークになった。
「骨髄移植の順番が回ってこなかったため、臍帯血移植手術を決断。一時は劇的な回復を見せ、退院の日には、お世話になった看護師の方々らに感謝の気持ちを込めて『アメイジング・グレイス』を歌ったそうです」(前出・芸能記者)
ところが、わずか1カ月後には白血病が再発。抗ガン剤による過酷な治療に戻ったが、同年11月6日に力尽きた。
2019年に放送された『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ系)では、美奈子.さんが闘病中に書き溜めていた「日記」が公開され、白血病の再発が告げられた日には、こうつづられていた。
「私は歌を通して希望を与えることができたらと思っているのに、神様は歌わせてくれないのですか? どこまで苦しんだら健康になって歌ってもいいのですか? それとも私の歌は人々に必要ないのですか? 苦しいのはもう嫌。悲しいのももう嫌。毎日笑顔でいたい。ただそれだけ、お母さんごめんね」
美奈子.さんが大ファンだったという福山雅治さんは、闘病中から彼女にエールを送り続け、亡くなった1年後には書き留めていたメモを基に楽曲を制作。美奈子.さんの壮絶な闘病がマスコミで報じられる度に「日本骨髄バンク」のドナー登録者数は増え続け、彼女の生前の2倍以上になったという。
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