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「ずっと血尿が止まらない」ハリウッドの撮影現場からSOSを発した松田優作【著名人の壮絶な闘病5】

(画像)Kues / shutterstock

3月28日に死去した世界的な音楽家・坂本龍一さん(享年71)は、亡くなる数日前に家族や医師に「つらい。もう、逝かせてくれ」と頼み込むほどだったという。坂本さん以外にも、凄絶な闘病の末に旅立った著名人は多い。

180センチを超える長身で極真空手の経験者だった松田優作さん(享年40)の命を奪ったのは「膀胱ガン」だった。


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『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のジーパン刑事役でブレークし、『探偵物語』(同)や角川映画『蘇る金狼』などで強烈な個性を発揮。抜群のカリスマ性を誇った松田さんが体の不調を訴えるようになったのは1988年9月末のことだった。

血尿に悩まされ、「ついに尿が出なくなった」と病院を訪れた松田さん。検査の結果、膀胱ガンであることが判明し、医師が本人に告知したところ、「誰にも知らせて欲しくない」と懇願。2人目の妻だった美由紀さんにも隠していたが、夫人は気づいていたという。

「本来なら、すぐに手術が必要だったそうですが、松田さんはそれを拒否。仕事への影響を恐れ、髪の毛が抜けないように抗ガン剤も副作用の少ないものを選んだほどでした」(芸能記者)

ガンが骨盤にまで広がっていた

松田さんが命と引き換えに選んだのは最初で最後のハリウッド映画だった。

リドリー・スコット監督の映画『ブラック・レイン』の撮影のため、大掛かりな治療を拒んだのだ。

「撮影は88年10月後半から大阪や米国内で5カ月にわたって行われました。厳寒のロケもあったそうですが、膀胱内に抗ガン剤を入れ、痛みに耐えながら撮影を続けた」(同・記者)

米ニューヨークの撮影現場から担当医と国際電話で話した際、一刻も早い手術を勧める医師に対し、撮影続行を宣言しながらも、こう訴えていた。

「(撮影は)最後までやらせて下さい。それよりも、ずっと血尿が止まらないんです」

文字通り、命を懸けて臨んだ『ブラック・レイン』の撮影を終え、帰国後もドラマの撮影をこなしていた松田さんだったが、89年9月に腰の激痛に耐えられなくなったとして再び病院を訪ねた。

「すでにガンは骨盤にまで広がり、手の施しようがなかったそうです」(前出・芸能記者)

同年10月7日に『ブラック・レイン』が公開され、国内外で松田さんの鬼気迫る演技が絶賛されたが、わずか1カ月後の11月6日に帰らぬ人となった。

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