
俺の小説『佐賀のがばいばあちゃん』が大ヒットした頃、いろんなテレビ番組で芸能人が佐賀までロケに来たんですよ。『V6』から〝イノッチ〟こと井ノ原快彦君と森田剛君も来ましたね。俺の家に来るなり、イノッチが「紳助さんやたけしさんが、ばあちゃんはいなかったと言ってますけど、本当に家はあるんですか?」。「あるわ。今から連れて行くわ」。自宅から車で7~8分の距離にある、ばあちゃんに育てられた家へ連れて行きましたよ。
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ばあちゃんに育てられた家に到着すると、「本では家がボロボロだと書いてありましたよ」、「何十年もそんな家に住んでいるわけないやろ」、「表札に『徳永』と書いてありますね。徳永さんは洋七さんの本名ですよね?」、「そうや。だから家やって」。ばあちゃんは、住み慣れた家を改築するのを嫌がったから、ばあちゃんが亡くなってから、建て直したんですよ。
「でも、大根はないじゃないですか?」とまたもイノッチ。本にも出てくるように、俺が幼い頃は家の近くを流れる川に、近所の八百屋さんが売り物にならない野菜や果物を流していたんですよ。形が悪いだけで食べられないわけじゃないからもったいないでしょ。ばあちゃんは、流れてくる野菜を川に長い竹の棒を置いて引っ掛けては食べていたんです。
再度、自宅に戻ると、「洋七さんが近所でよく行く食堂みたいな庶民的なお店はありますか?」と聞くから、近所のおじいさんとおばあさんで切り盛りしているちゃんぽん屋へ行ったんです。
V6を知らない店主に説明を…
おばあさんにカメラを回す許可を取って、撮影スタート。2人がちゃんぽんを食べている前で、俺がその店のちゃんぽんについて説明をしていたんです。そうしたら「あんたたち、師匠がまだ食べてないのに先に食べてどうするの!」、「お母さん、これ取材やから説明しているから食べてもろうてええねん」、「2人は誰? お弟子さん?」、「いや、違いますよ。歌手です。アイドルです。ジャニーズのV6ですよ」。
おばあさんは、ジャニーズもV6も知らなかったんです。今でこそバラエティー番組にアイドルもよく出演しますけど、今から20年くらい前の話ですからね。
「V6は6人組のグループで、今日はこの2人が取材に来てくれたんですよ」と説明すると、「あとの4人は何? 東京で遊んでいるの?」、「いや、他の仕事をしているんじゃないですか」。このやり取りを見ていた、イノッチと森田君は笑い転げていましたよ。
前に和田アキ子さんが自宅に来た際にもその店へ行ったから、サインが壁に掛かっていた。それを見たV6の2人は「サインを書きます」。おばあさんは「店に色紙はない」と断ってましたね。自分らも書かないと…と思ったんでしょうね。2人とも優しいですから。
店の戸が開き、若い女の子が3人ほど入って来た。V6の2人を見て「なんで? なんで? こんなちゃんぽん屋に何しに来たんですか?」と大興奮。まさかV6が佐賀のごく普通のちゃんぽん屋にいるとは思わないでしょ。女の子らも悪気はないんですよ。それを聞いていたおばあさんは「こんなちゃんぽん屋で悪かったね」だって。
島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
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