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蝶野正洋『黒の履歴書』〜スキャンダルを仕掛けるタイミング

蝶野正洋
蝶野正洋 (C)週刊実話Web 

グレート・ムタが、アメリカ最大のプロレス団体WWEの殿堂入りを果たし、ロサンゼルスで行われたセレモニーに出席した。インダクターのリック・フレアーに紹介されるとムタがスーツ姿で登場、毒霧パフォーマンスをみせていた。

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武藤敬司としても殿堂入りということで、同時受賞は快挙と報じられていたけど、俺は若干の不安があった。武藤さんは、いわゆる「テリトリーキラー」で、彼が行くところ絶対に何かが起こるんだよ。そんな想いがよぎっていたら、WWEが総合格闘技団体のUFCに買収されたというニュースが入ってきた。

実際にはUFCの親会社であるエンデバー・グループが買収して、UFCとWWEを統合した新会社を設立するという流れのようだ。

エンデバーはアスリートのマネジメントから、バスケットボールやラグビーリーグの運営やプロモーション、それに広告や配信、アパレルまで手掛けるスポーツ業界の複合企業で、莫大な資金力があるという。

これを機にWWEもさらなる世界戦略を進めていくだろうし、改めて日本のマーケットも狙ってくるだろうね。もっと手っ取り早く、日本のプロレス団体の買収を考えているかもしれない。

新日本プロレスのオーナーである木谷高明さんあたりはビジネスマンだから、巨大資本に対抗して戦うくらいなら高値でポンと売ってしまう可能性はある。

WWEが身売りするという話は以前からささやかれていて、さまざまな会社が買収に名乗りを上げていた。

その頃にWWEのトップであるビンス・マクマホンの不倫スキャンダルが発覚して、CEOを解任されるという騒ぎがあった。

このタイミングをみると、ビンスをトップから外して、株価を落とすために誰かがスキャンダルを仕掛けたような気もするよね。

リークするのが遅すぎた!?

ドナルド・トランプ元大統領も、不倫相手に口止め料を払ったなどの疑惑が浮上して、その後逮捕・起訴された。トランプ氏は無罪を主張しているが、これも対抗勢力による謀略と考えることもできる。

いまアメリカ社会は、陰謀論的な考え方が当たり前になってきていて、政治や経済の裏側には支配的な組織や大企業が暗躍しているという話が大前提になってしまっているという。

なので、このスキャンダルもさまざまな裏読みができるし、逆に「これはハニートラップだ! でっち上げだ」と応援するトランプ信者もいるだろうね。

それと比べるとスケールが小さいのが、先日の神奈川県知事選挙だよ。投票日直前に4期目を目指す黒岩祐治氏の不倫スキャンダルが発覚し、赤裸々なメールの文章も露出した。それでも大勢に影響はなく、黒岩氏は当選を果たした。

この結果については、他に投票したくなるような候補者がいなかったということに尽きるけど、とはいえスキャンダルをリークするタイミングが遅すぎたと思う。誰が何を狙ったのかは分からないけど、遅くとも選挙の告示日くらいには仕掛けないと意味がないよ。

やはり大きなスキャンダルが出てきたときは、誰が得してるかということを考えたほうがいい。ただのゴシップとして消化しないで、一種の情報戦だと思って見直してみると、いろいろなヒントが隠れているんだよ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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