(画像)ID1974 / Shutterstock.com
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ロシア・プーチン大統領“暗殺計画”着々と…『闇の爆殺集団』が周辺人物を続々殺害

ウクライナ侵攻が泥沼化する中、ロシア国内で反プーチン政権を掲げる「闇の爆殺集団」が、親プーチン派を次々と殺害している。元ボディーガードから、暗殺を極端に恐れる弱腰ぶりを暴露されたプーチン大統領だが、平和な日本でさえ岸田文雄首相が襲撃されるのだから、身の危険を感じるのも無理はない。


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4月2日、プーチン大統領の故郷として知られるロシア第2の都市、サンクトペテルブルク中心部のカフェで爆発事件が発生した。カフェの持ち主は「プーチンの料理人」と呼ばれた富豪のエフゲニー・プリゴジン氏で、民間軍事会社『ワグネル』を創設した人物。いわく付きの場所だった。


事件当日、そのカフェでは親プーチン派の軍事ブロガー、ウラドレン・タタルスキー氏が講演をしていた。ロシアの軍事ブロガーは、ただ文章を書いて軍事問題を論じるだけではない。戦場の最前線からレポートしたり、ロシア軍に強硬な措置を打ち出すよう主張したりと、親プーチン派の活動家という側面を持ち、軍事への影響力も強い存在だ。


タタルスキー氏に近づいた若い女が、プレゼントと称して同氏をモデルにした胸像を渡したところ、数分後に大きな爆発が発生。タタルスキー氏は死亡、約40人の負傷者が出た。


ロシア治安当局は事件翌日の3日、爆発物を仕掛けた胸像を持ち込んだとみられるダリア・トレポワ被告を拘束し、テロ行為の罪で起訴。4日には『国民共和国軍(NRA)』を名乗る団体が、通信アプリに犯行声明を発表した。

次々と狙われる周辺人物

NRAは治安当局を「今回のトレポワに起こったような古い手法で、関与の有無にかかわらず、たどり着ける人々に嫌疑をかけて拘束している」と批判。トレポワ被告を拘束しても、団体の中枢には届かないことをにおわせた。

NRAは自らの組織について、プーチン政権の打倒を訴えるパルチザン(反乱軍)集団で、ロシア国内の軍人や活動家、政治家らで構成されていると説明し、「外国の組織や情報機関の支援は受けていない」と主張している。


昨年8月には「プーチンの頭脳」と呼ばれ、ウクライナ侵攻の理論的支柱になったともいわれる思想家のアレクサンドル・ドゥーギン氏が、モスクワ郊外で命を狙われている。同氏が乗る予定だった自動車に、たまたま娘が乗ったところ爆発。娘と運転手が死亡し、この事件でもNRAは犯行声明を発表した。


NRAは爆弾テロだけでなくサイバー攻撃にも長けており、昨年10月にはロシア政府の契約企業に対してハッキングを行い、情報を搾取している。断続的に活動しながら、事件を起こすたびに犯行声明を出してきたNRAだが、その実態は闇の中だ。


「ロシア各地で小規模のグループとして活動しているとされるが、実際のところ組織の首謀者や構成員を把握できておらず、組織が実在するかどうかさえ分からない。サンクトペテルブルクの事件で拘束された女も、手先として使われただけの可能性が高い」(大手紙外信デスク)


治安当局は4月13日になって、トレポワ被告に爆発物を届けたとして、ウクライナ人のユーリー・デニソフ容疑者を特定し、国際指名手配した。デニソフ容疑者は今年2月、ウクライナ特殊部隊の指示を受けてロシアに入国。4月2日、トレポワ被告に胸像を送付した後、3日にアルメニア経由でトルコに出国したとされるが、NRAとの関連を含めて真相は不明だ。


「料理人」や「頭脳」など周辺が相次ぎ攻撃され、プーチン大統領が真綿で首を絞められるような日々を過ごしていることは想像に難くない。

“暗殺恐怖”による生活と行動

そんな中、ロシア連邦警護庁で大統領の警護官を務め、昨年10月に西側へ亡命したグレブ・カラクロフ元情報将校が、英シンクタンクのインタビューに答えた内容が波紋を広げている。

証言によるとプーチン大統領は移動の際、航空機ではなく大統領専用列車を使うことが多いという。そして、外遊先には約2.5メートル四方の電話ブースを持ち込み、通信によるやり取りはその中で行う。海外の諜報機関による盗聴を防ぐためだ。


そして、プーチン大統領が「閉じた世界」にいることも分かってきた。


「プーチンは一種のパラノイア(偏執狂)で、暗殺を恐れている。彼が携帯電話を持っているのを一度も見たことがない。インターネットも使わず、側近や親しい人物から情報を受け取るだけ。情報の空白に住んでいる」(カラクロフ氏)


プーチン大統領の強い猜疑心と警戒心は、ロシア各地に複数ある邸宅の様子からもうかがえるという。


ロシア西部のヴァルダイ、北西部のサンクトペテルブルク、南西部のソチ、モスクワ郊外のノヴォ・オガリョヴォにある邸宅では、それぞれ執務室を構えているが、レイアウトが寸分違わないという。これも暗殺を防ぐためで、公式発表と異なる場所にいることも少なくなかったと、カラクロフ氏は証言している。


ただ、こうした秘密が漏洩するのも、プーチン大統領が窮地に立たされている証拠。NRAは「プーチンはわれわれによって、その地位から引きずり降ろされ、破滅させられる」と宣言しており、いつ「本丸」が爆殺のターゲットになってもおかしくない。