日本初のカジノが2029年開業を目指し動き出した。4月14日、政府はカジノを含む大阪IR(統合型リゾート)計画を正式に認定した。誘致を進めてきた大阪府・市はこの一報に万々歳だろうが、地元の財界や府民の間からは不安の声も絶えない。
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大阪府・市の計画によれば、IR予定地は広さが甲子園球場13個分の大阪湾の人工島・夢洲。カジノ運営大手の米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスなどが出資した合同会社が運営を担う。初期投資は1兆800億円。
「19年に作成された構想では来訪者は年間約2480万人、うち590万人がカジノを利用する計画だった。ところが、最終案では来訪者が約2000万人に減り、反対にカジノ客は約1600万人と急増している。しかも、カジノ利用の7割が日本人という試算。大阪の人気テーマパークのUSJでさえ、年間1460万人(16年)。入場料6000円のカジノに、USJ超えの人が集まるのか。また、ギャンブル依存症も懸念されている」(政治担当記者)
世界有数のカジノ、シンガポールの『マリーナ・ベイ・サンズ』の年間来場者は4500万人で、カジノ収益は2400億円(16年)。大阪は2000万人でカジノ収益は4200億円と、来場者がサンズの半数以下なのに収益は倍近い。こんな計画が成り立つのか。
環境を整えるだけでも800億で終わらない!?
さらに、カジノ誘致を進めた大阪府・市が掲げた「民間投資で公金負担はゼロ」という当初のキャッチフレーズも崩れている。
「液状化と汚染土壌対策費として大阪市は約800億円を投入する。しかし、夢洲の土壌対策費はこれで終わりではない。埋立地の夢洲では地盤沈下問題も不安視されており、負担は青天井になる恐れも出てきている」(大阪市議)
これまでIR誘致議論が進む中で、夢洲の地盤沈下のリスク分担を問われた大阪市は「通常の想定を著しく上回る大規模な地盤沈下や陥没が生じた場合を除いて、市は費用負担を行わない」と説明している。
「通常の想定基準が曖昧。今後、IR企業側から『想定外の地盤沈下が生じた』と対策費を求められれば、さらに公的資金を投入せざるを得ないリスクは消えない」(在阪記者)
年間の経済効果は1兆1400億円とされる大阪カジノ。一歩間違えれば、底無しの血税投入、借金地獄の危うさが漂っている。
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