「鈍牛といわれた、我が派の大先輩、大平正芳元首相は『牛は歩みはのろいが、前に進んだときは下がらない』と述べた。私も踏み出した一歩は、決して下がらない」
自民党岸田派の林芳正参院議員は新年のマスコミ取材に、こう抱負を述べた。その林氏が年明け早々、二階派の重鎮のいる選挙区に鞍替え出馬すると複数の自民党長老に公言したことから、二階派と岸田派で一気に緊張が高まっている。
「林氏は東大、ハーバード大院を経て参院議員となり、現在5期目で、農水相、文科相を務めるなど自民党きっての政策通。早くから、ゆくゆくは自民党総裁、首相候補といわれてきた。2012年には総裁選に名乗りを挙げたほど。参院議員でも首相にはなれますが、前例はなく、ハードルが高い。そのため、父親の林義郎元蔵相の選挙地盤だった旧1区と一部重なる山口3区への鞍替え出馬を模索していた」(政治部記者)
山口3区には二階派の重鎮・河村建夫元官房長官が現職として存在し、次の出馬も準備している。
“寝業師”二階幹事長の繰り出す手とは…
「昨年10月には二階幹事長が派閥19人を引き連れて山口入り。鞍替えなら林氏の党除名もチラつかせて威嚇したほど」(同)
林氏は二階派のデモンストレーションにめげず、年明け早々、自民党長老で今も〝参院のドン〟と称される青木幹雄元官房長官や岸田派前会長の古賀誠元幹事長に面会し、出馬の意向を伝えたという。地元は「いよいよ令和の長州戦争勃発」とテンヤワンヤの大騒動だという。
「林氏は地元自治体の首長選挙で数年前から自分の息のかかった候補を擁立し、河村氏の推す候補をことごとく打ち破ってきた。加えて、3区の県議、地元議員の大半を抑え、外堀を埋めつつある。仮に党除名、無所属でも林氏圧勝は固いでしょう。ただ、『寝業師』の異名を持つ二階幹事長だけに、河村氏を当選させるため、どんな手を繰り出してくるか、皆目不明なのが不気味だ」(地元事情通)
林氏鞍替え出馬で河村氏とガチンコなら、自民党は分裂選挙となる。
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