(画像)Conor P. Fitzgerald/Shutterstock
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大谷翔平に“米プロスポーツ史上最高額”契約の可能性…気になる来季の去就は?

今季は「投打でのWタイトル獲得」も夢ではない。そのとき、二刀流・大谷翔平にはメジャーリーグを超えたアメリカのプロスポーツ史上最高額が提示される。そんな大谷を、エンゼルスは本当に引き止めることができるのか…。


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「大谷との契約は今季まで。エンゼルスは『今はしていない』と残留交渉を否定していますが、誰も信じていません。マイク・トラウトが12年総額4億2650万ドルでエンゼルスと再契約したのは19年シーズン途中。前契約が20年シーズンまで残っていたのに、です。ビッグマーケットの都市を本拠地とする球団は看板選手との契約を前倒しする傾向にあり、ロサンゼルスのエンゼルスもその一つ」(アメリカ在住のライター)


水面下で進行中の残留交渉にも影響を与えそうな一報が出たのは、現地時間4月6日。地元紙ロサンゼルスタイムズ(電子版)が匿名を条件に語ったメジャーリーグ関係者の証言として、


「大谷の残留、獲得のいずれの交渉にしても、5億ドル(約663億円)からスタートし、6億ドル(約796億円)に上る」と報じたのだ。


これまでは「12年総額6億ドル」、日本円に換算して800億円近い巨額契約が予想されていた。地元紙は「WBCでの活躍で大谷の市場価値がさらに上がった」とその根拠を伝えていたが、その通りに交渉が進めば、チームメートのトラウトだけではなく、NFL(アメフト)チーフスのスターQB、パトリック・マホームズも超えて、「アメリカ・プロスポーツ史上最高額」での契約となる。

このままではマネーゲームに!?

米スポーツ界全体にとっての〝歴史的契約〟と言っていい出来事だ。

「大谷を残留させることができるのかどうか、それが騒がれ始めたのは21年シーズンからです。時間の経過とともに大谷の市場価値、人気も上がっていきました。エンゼルスは球団売却問題などもあり、大谷との交渉に専念できなかったのでしょう。でも、この時間の経過はエンゼルスを不利にさせただけ。昨年オフの時点であれば、トラウトとほぼ同額で契約できたかもしれません」(スポーツライター・飯山満氏)


また、交渉遅延を招いた原因だが、引き続き、球団オーナーを務めることになったアート・モレノ氏の見解も影響していた。


「モレノ氏はチーム総年俸を1億9000万ドルに設定してきました。22年、大谷の年俸は3000万ドル(約39億円)。トラウト、レンドンと3人で総年俸の約70%を占めています。『大谷は引き止めたい。でも、総年俸は抑えたい』の発想でした」(同)


今年1月に「球団売却をやめた」と方針転換後、モレノオーナーはチーム強化こそ明言したものの、チーム総年俸に関するコメントは出していない。


このアヤフヤな言動に、大谷の「優勝争いがしたい」とする思いとは裏腹のチームの低迷も重なって、ファンは「大谷の去就問題はどうなるんだ?」とヤキモキさせられてきたわけだ。


「タイムリミットも近づいてきました。メジャーリーグのシーズン中のトレード期限は7月末まで。シーズン序盤に大谷側と合意できなければ、今度こそ、数人の若手有望株との交換トレードです」(同)


大谷がエンゼルスでシーズン終了を迎えれば、フリーとなり、他球団とも交渉が可能だ。メッツ、ヤンキース、パドレス、ジャイアンツ、そして、「22年オフに大掛かりな補強を控えたのは大谷獲得に備えるため」と報じられたドジャースも参入してくる。


マネーゲームになれば、チーム総年俸を変えようとしないエンゼルスは、劣勢となるだろう。

慣れるべき新ルール“ピッチクロック”

また今季、「二刀流」はさらに進化しそうである。野球専門サイト・MLBドットコムが、早々に今季のタイトルホルダーを予想した。87人の野球ライターが参加しており、「ア・リーグ最優秀防御率」の一番手に予想したのは、投手・大谷だった。

「去年は15勝。勝敗のつかなかった登板も振り返ってみると、ワールドシリーズ覇者のアストロズ戦に5度登板して、失点はすべて1点以内。同じア・リーグ西部地区の強豪・マリナーズに対しても、4度登板して防御率は0.95。強豪チームに対する内容が素晴らしい」(現地メディア)


エンゼルスのブルペン陣も整備されつつある。「降板後にリリーバーが炎上、大谷の勝ちも消えた」の事態もなくなれば、最多勝も射程圏内に入ってくる。


「大谷は何種類かのスライダーを投げ分けています。本人が詳しく話さないので不明な点もありますが、状況に応じて投げ分け、試合中にも対戦チームを惑わせています」(同)


投球間隔を短く制限する新ルール「ピッチクロック」に苦しむかもしれないが、時間が解決してくれるだろう。


4月7日(現地時間)のブルージェイズ戦を指して、こんな声も聞かれた。


「第1、第2打席は三振。でも、第3打席で右前打、第4打席で右二塁打を放ちました。タイミングが合っていませんでしたが、第3打席でしっかり修正しています。極端に守備位置を変える大谷シフトも禁止となり、『打者・大谷』にも追い風が吹いています」(前出・飯山氏)


先のMLBドットコムではホームラン王予想では「次点」だったが、大谷シフトの禁止から「打率成績の急上昇」を警戒する向きも強いそうだ。


昨季はMLB史上初の打席&イニング数の投打規定到達をやってのけた。今季、投打のダブルタイトル獲得となれば、総額6億ドルの争奪戦がさらに上方修正されるのは必至だ。


エンゼルスと大谷の交渉の行方が気になる。