
2010年に博多座や中日劇場などで舞台『島田洋七のお笑い「佐賀のがばいばあちゃん」』の公演があったんです。俺はばあちゃん役のサノ、高橋惠子さんが俺の母ちゃん役の秀子。母ちゃんの妹・喜佐子役は『モーニング娘。』の初代リーダー・中澤裕子さん。
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稽古場で初めて顔を合わせ、「うわ、モーニング娘。や」、「喜佐子さんの役をやらせていただきます中澤です。よろしくお願いします」、「どうしたん? 歌は辞めたんか?」と聞くと、「アイドルは何十年も続けられないから、長い間芸能界にいるためにお芝居にも挑戦しているんです」と言ってましたね。
28日間の公演中、芝居の中で、俺と中澤さんの2人だけでのシーンが7分ほどあったんです。漫才じゃないから、7分はめちゃくちゃ長いんですよ。俺がばあちゃんに8年間育てられた佐賀の中学を卒業し、広島の高校へ旅立つシーンなんです。喜佐子役の中澤さんが「お母さん、昭広(俺の本名)が広島に帰ってしまい辛いやろうけど、母ちゃん(秀子)と一緒に生活したい気持ちも分かってあげて」という台詞で、稽古のときは台本通りだった。
いざ、本番を迎えて、そのシーンになると台詞を口にしながら、音楽が流れると中澤さんがボロボロ涙を流している。それを見て、俺は震えましたね。アイドルでもこんな芝居ができるのかと。俺は芝居が下手だけど、自然と涙が出てきてね。続けて、中澤さんが「お母さん、寂しい気持ちは分かる」と台詞を俺の目を見ながら口にした。そうしたら余計に涙が出てね。芝居なんだけど、なんだか現実かなと思いましたよ。
一番と褒められた芝居
10日目の公演が終わり、座長の俺が主催してみんなを飯に連れて行ったんです。他の出演者から「洋七さん初めての芝居なのに上手ですね」と褒められた。漫才ブームの頃、ドラマに何度かゲスト出演したことはあったけど、B&Bとして出ていたから演技は求められていなかったんです。初の本格的な芝居で褒められたけど、中澤さんの涙にもらい泣きしただけなんです。
同席していた博多座の人も「今までいろんな芝居や歌舞伎を上演しましたけど、音楽に合わせて、洋七さんと中澤さんが泣くシーンは一番ですよ」とまたも褒められた。高橋惠子さんも「中澤さんは芝居が上手ね」と仰ってましたよ。そのとき、アイドルでリーダーを務めていた中澤さんはすごいなと感心しましたね。それにばあちゃんの役を務めて、ばあちゃんの気持ちも分かりましたね。
今、中澤さんは福岡に住んでいて、こっちのテレビにはコメンテーターとしてよく出ているんです。5年前、今も続く『島田洋七の朝から言わせろ!』(KBC九州朝日放送)の収録を終えると、中澤さんとバッタリ遭遇。「お久しぶりです。サノばあちゃん」と役名で呼ばれてね。なぜか涙がボロボロ出てきたんです。「サノばあちゃん、泣いてる」、「いや、あんまり懐かしくて涙出てきたわ」、「洋七さんがラジオをやっているからいつか会えるかなと思っていたんですけど、やっと会えましたね」。
アイドルのことを馬鹿にする人も世の中にはいるけど、アイドルでもすごい人はホンマにすごいですよ。
島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
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