(画像)Quality Stock Arts/Shutterstock
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北朝鮮・強力ICBM“核兵器”お披露目も実際の「核実験」は行えない真意とは…

北朝鮮の朝鮮中央通信は3月28日、金正恩総書記と戦術核弾頭『火山31』とみられる物体が写った写真を配信した。これまで北朝鮮は、韓国を標的とする戦術核兵器を保有していると主張してきたが、国営メディアを通じて初めてその証拠を示したことになる。


「しかし、核兵器を戦力化するためには、実戦と同じ環境で実験に成功しない限り完成したとは言えません。この物体が本物かどうか検証するのは現時点で不可能です」(軍事ライター)


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一方、米韓両軍は3月20日から4月3日まで、5年ぶりとなる大規模な上陸訓練『双竜訓練』を実施した。今年は規模をこれまでの「旅団」級から「師団」級に拡大し、韓国政府関係者によると約1万2000人の将兵が参加したという。


「この演習は朝鮮半島有事を想定したもので、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮を強くけん制する狙いがあります」(外交関係者)


米韓の連携強化に対抗するように、北朝鮮は核弾頭を搭載できると主張する兵器の発射訓練を立て続けに行っている。


「ミサイル発射を公表する際、これまで北朝鮮メディアは『実験』と『訓練』を使い分けてきましたが、現在は『訓練』が多くなっています。これは米韓が攻め込んでくれば、『問答無用で核を使う』という意思表示でしょう」(同)

 “核”実験には踏み切れていない

実際、3月12日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射したほか、続いて16日には米国全土が射程に含まれるという最も強力な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射している。

「3月24日には新たな無人水中核攻撃艇(水中攻撃ドローン)『ヘイル』の存在を明らかにしました。ヘイルは朝鮮語で『津波』を意味します。核爆発により津波を引き起こし、港湾や都市住民にダメージを与えるという想定の兵器で、その目的はロシアの超大型核魚雷『ポセイドン』と共通しています。ただし、北朝鮮は原子力推進機関を実用化していないので、『ヘイル』は電池などの通常動力を用いているのでしょう」(軍事ジャーナリスト)


こうした核兵器の誇示は、まるで正恩氏の娘、金主愛のお披露目のようだが、戦術核を実戦配備するための実験はいつ行うのだろうか。


「北朝鮮は核実験に踏み切れない状況です。中国から『強行すれば人道支援を打ち切る』と脅されており、極度の食糧不足、エネルギー不足にある現状では逆らえません。ただし、過去6回の核実験でデータを蓄積していますから、それを基にシミュレーションすることは可能です」(同)


弾道ミサイルの技術力と運用能力を格段に向上させてきた北朝鮮が、いつまでも「見本市」だけで満足しているとは限らない。