日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『フウライチョウチョウウオ&ハタタテダイ』沖縄県石垣市/八島産~日本全国☆釣り行脚

石垣島の定番釣りポイント、サザンゲート下にて南国らしい派手な魚を狙った前回。激流とエサ取りに苦戦しつつも、何とか獲物を手にできました。激流ゆえ遠投はできず、近場に仕掛けを投じるとアタリなくエサがなくなるという展開。スズメダイやら何やらの、ハリにも掛からないほどの小魚たちが多いのかと思われますが、毎回5分とたたずにエサがなくなると、エサ取りの正体を確かめたくなるものです。


【関連】『アミメフエダイ』沖縄県石垣市/八島産~日本全国☆釣り行脚 ほか

そこで、エサ取りの正体を突き止めることにしました。早い潮流による激流で、岸壁直下とはいえ底までは見えません。どこかよい場所はないものかと、岸壁の下をのぞき込みながら歩いてみると、係留された船と船の間のよどみに、潮流の影響がなく底まで見通せる箇所を発見。ターコイズブルーに澄んだ海中に目を凝らすと、底は砂地に若干の障害物。見た限り魚らしき姿は全くありません。


早速、安物のコンパクトロッドに胴突き仕掛けをセット。アルゼンチン産赤エビを小さくカットしてハリに付け、ゆっくりと仕掛けを沈めます。魚っ気のない海中にゆらゆらと沈む仕掛け。オモリが着底すると、岸壁の陰からハリに付けたエサを目掛けて、数尾の鮮やかな模様の魚たちが現れました。水族館の熱帯魚コーナーでよく目にするチョウチョウウオの類いです。こ、これは…竹富島のリベンジができるじゃねぇか…。


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あれは3年前。竹富島の岸壁で竿を出したときのこと。足下にパラリと撒いたアミエビに群がる美しいチョウチョウウオたちを見て、何とか釣ってやろうと試みました。そのとき、手持ちで一番小さいハリは袖針5号。ハリにアミエビを付けて落とすとエサをついばむチョウチョウウオたち。ところが、おちょぼ口ゆえハリに掛けることは容易ではなく、辛うじて釣れたヒメアイゴに慰められ、チョウチョウウオリベンジを誓って島を後にしたのでした。

石垣島で富士五湖仕掛け

あれ以来、南国離島に釣行の際は〝いつなんどき、魅力的な熱帯魚に出くわすか分からない〟ことから、常にワカサギ仕掛けを持参するようにしております。今まさに使う時が来たぜ!

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持参したワカサギ仕掛け2種のうち、より小さい〝富士五湖、諏訪湖仕様〟にアミエビを小さくちぎって付けます。それにしても、ここまでハリが小さいと、艶系動画の見すぎで、老眼が著しいオッサンにはこたえますな。


エサを付け終えて、いざ投入。ゆっくりと仕掛けを沈めて着底。すぐにブルブルッとアタリが出て、喜び勇んで巻き上げた仕掛けに付いていたのは、オグロトラギスです。オマエじゃないんだよな…。


再び、老眼に苦戦しつつエサを付けて仕切り直し。オモリ着底と同時に、コツッ! コツンッ! とアタリが出ます。が、合わせても掛からずにエサが取られるのみ。さすがはおちょぼ口のチョウチョウウオたち。ワカサギ仕掛けを用いても一筋縄ではいきません。


ハタタテダイ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

ハタタテダイ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

そこでオモリが着底したら、糸を軽く緩めて置き竿で待つことにします。糸に張りがないことで〝より吸い込みやすく〟なるのでは? と竿を置くと、程なく震える竿先。すぐに竿を手にして合わせると、ブルブルッと小気味よい手応えで釣れたのは、チョウチョウウオ科のハタタテダイ。よし、これはイケるぞ。

熱帯魚の煮付け意外や美味

あとは、もう1種類見えている大きめのチョウチョウウオ系を何としても釣りたいところです。仕掛けを入れてはエサを取られ…を数回繰り返すうち、置き竿に明確なアタリと同時にフワッと糸フケが出ました。すぐに合わせるとキュキュンッと鋭い手応え。海中をのぞいて見れば、白地に美しい斜走帯のある魚影が反転して暴れるさまが見えました。やった!!

フウライチョウチョウウオ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

巻き上げると思いのほか疾走感のある引きです。なにせ10センチほどで細身のワカサギを狙う仕掛けですから、小物のチョウチョウウオとはいえ切られないよう慎重にやりとり。勢いよく海中に突っ込む引きにヒヤヒヤしつつ、「切れるなよっ」と抜き上げ。良型のフウライチョウチョウウオを無事確保し、これにて竹富島のリベンジ達成。大満足で納竿となりました。


フウライチョウチョウウオの煮付け 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

持ち帰ったチョウチョウウオたちは、煮付けにして賞味。カラフルな見た目に反して、どちらもクセのない白身で、特にフウライチョウチョウウオは適度な脂乗りも感じられて美味。一般的に名の通った白身魚と比べても遜色のない旨さには、ちょっとビックリです。


まともな釣りでは狙われることのない、むしろ水族館などの〝南の海の熱帯魚コーナー〟で観賞されるチョウチョウウオたち。こんな魚も、狙ってみると実にアツくさせてくれるターゲットなのでありました(あくまでも個人的見解)。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。