自民党で参院幹事長代行を務める丸川珠代元五輪担当相が、参院から衆院への鞍替えを決意した模様だ。「常在戦場の衆院より、解散がなく6年間安泰の参院のほうが自分に合っている」と周囲に漏らすこともあった丸川氏だが、初の女性首相を視野に入れての鞍替えと、もっぱらだ。
これに難色を示しているのが、いわば丸川氏の〝上司〟に当たる世耕弘成参院幹事長。世耕氏も虎視眈々と首相の座を狙っており、丸川氏に先を越されたくないのが本音のようだ。
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次期衆院選から小選挙区の定数は、1票の格差是正に向け「10増10減」され、新たな区割りが適用される。東京の小選挙区は現在25あるが、10増のうち5つは東京に割り振られるため、30選挙区に増える。
参院東京選挙区で当選3回を誇る丸川氏が狙っているのは、衆院新7区(渋谷区、港区)。五輪担当相と環境相の2閣僚を歴任した丸川氏にとって、党の要職や重要閣僚、はたまた党総裁=首相を目指すには、衆院議員になることが必要不可欠だ。
「法律上、参院議員でも首相になれるが、戦後の現憲法下で参院議員が首相に選出されたことはない。それには理由があります。首相の専権事項である衆院の解散権を行使し、総選挙で国民に信を問い、信任を得た上で組閣する。これこそが首相の醍醐味であるのは言うまでもない。しかも、解散とは全衆院議員をクビにすることに他ならず、解散権を行使する首相が解散のない参院に身を置いて『クビを免れるのはいかがなものか』という論理」(全国紙政治担当記者)
説得中も丸川氏の意思は固い…
当然、世耕氏も衆院への鞍替えを狙ってはいる。だが、そこに立ちはだかるのは地元で王国を築いている衆院和歌山3区選出の二階俊博元幹事長だ。
「和歌山は次期衆院選から小選挙区が3から2に1減らされ、狭き門となる。『新規参入許すまじ』と言わんばかりの二階氏と参入を試みる世耕氏。両氏による〝紀州戦争〟は、日に日に激しさを増している」(同)
一方、世耕氏のライバルでもある林芳正外相は一足先に参院山口選挙区から、河村建夫元官房長官の選挙区を奪う形で、衆院山口3区に鞍替えしている。
先陣を切った林氏に続けとばかりに、活動を活発化させている〝女傑〟丸川氏。全国紙政治部デスクは「世耕氏は丸川氏に参院にとどまるよう説得しているようですが、丸川氏の意思は固いようです。遅れを取った世耕氏は相当焦っています」と語る。
丸川氏は第1次安倍晋三内閣時に初当選しており、安倍チルドレンとしても知られる。凶弾に倒れた安倍氏の遺志を継ぐ形で、小池百合子都知事、高市早苗経済安全保障担当相らを蹴落とし、初の女性首相に上り詰める日は来るのか。
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