これが潰れたら、大変なことになる。関西地方に春の訪れを告げる大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)が、3月12日から始まった。この春場所の唯一と言っていい目玉が、大関貴景勝の綱取りだ。
「ようやくコロナ禍も落ちつき、春場所も懸賞が1600本に達するなど、大相撲人気は復活傾向ですが、残念ながらファンを引きつける話題は、貴景勝以外に見当たらない。まだ朝乃山も、入門1場所で関取になった落合も十両ですから。そういう意味では、非常に危機的な場所と言えます」(大相撲担当記者)
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それだけに、ご当所、兵庫県芦屋市出身の貴景勝に期待するところは大きい。本人もなんとか周囲の期待に応えようと、本来の突き押し相撲に加え、四つ相撲にも取り組むなど、綱取りにすこぶる意欲的だ。
験を担いで今場所もノーコメントを貫いているが、場所前には「たくさんの方が応援してくれている。それを力に変えて、自分の夢でもある横綱に向かって気迫ある相撲を取りたい」と誓っていた。
貴景勝に計り知れぬプレッシャー
こんな貴景勝に追い風も吹いている。ひざの故障に苦しむ1人横綱の照ノ富士が、初日から休場した。これで4場所連続16度目だ。
「もし照ノ富士が出場していたら、貴景勝にとって大きな壁になったはず。それがなくなった上に、こうも横綱不在の場所が続くと、新横綱誕生を願う声も高まるでしょう」(協会関係者)
ただ、不安材料がないわけではない。過去、先々場所が優勝同点、先場所は優勝で綱取りに挑んだ大関は2人いる。初代若乃花と3代目若乃花だが、いずれも途中休場し失敗している。理由はさまざま考えられるが、人間の緊張が3場所、つまり半年も続くダメージは、計り知れないのだ。
この2年間、貴景勝は最高で12勝止まり。優勝争いは混戦になる可能性を秘めており、〝荒れる春場所〟になるかもしれない。
「綱取りが前半で潰れたら、幕内よりも十両の相撲のほうが注目され、逆転現象が起こり得る。大阪のファンはシビアだからカネ返せの声が沸き起こるかも」(同)
貴景勝の責任は重大だ。
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