「身体が死に至っても、意識は残る」。2月28日に死去した『幸福の科学』創始者の大川隆法総裁(66)は、常々そう説いてきた方である。しかも、悪霊や病気に打ち勝つための高説満載の著作、動画を数知れず〝提供〟してきた同教団にとって、トップの突然死が与える影響は計り知れない。
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「2月28日、自宅で脳梗塞の発作があり救急搬送されたが、蘇生できず亡くなったわけです。ただ、病気の性質上、なんらかの予兆が出ていたはずで、定期健診をやっていれば、こういう結末ではなかったかも」
知己の公安関係者はこう語る。大川氏には3男2女がいる。ただし再婚した現在の妻との間に子どもはいない。長男はすでに退会。しかも、造反し大川家の内情を暴露する本を出版し、教団とは名誉毀損をめぐる裁判を抱える身である。
「長男は継承者にならない。長女も〝左遷〟されたし、二男も冷遇状態、次女は若すぎる。なので、総裁補佐役にある妻が一応の後継者となりますが…」(教団幹部)
つまり、教団の帰趨うんぬんより、すでに大川家が分裂状態にあったところへ訃報が舞い込んだのである。
大川氏の看板あってこそ…
教団の今後を見据えるうえで、どんなガバナンスを行うかにも耳目は集まる。要するに、教団組織維持のためにどのような事業で収益を獲得するかだ。
これまで教団の収入源は2本柱と個人寄付だった。そのために、サブスクリプションまがいの「ネット会員」募集までハードルを下げている。
この会員になると、大川氏の霊言やスピーチの動画視聴が可能となる仕掛け。これなどをベースに、いわゆる霊言本を驚異的ペースで刊行し、会員が買いまくる。この出版ビジネスに赤信号が灯るのは時間の問題だろう。
もう一つは映画エンターテインメント収入。チケットを販売することでの収益だ。といっても、映画製作には「大川隆法」の看板があったからこそ、出資者を獲得できた部分も大きい。
そして、最大の問題は「予め次期継承者を確定(指名)していなかったこと」だ。
多くの新宗教団体には、後々の組織維持のために継承ルールがある。教団トップが存命のうちに後継者を指名する仕組みを持つケースも多い。すでにメディアが大々的に「大川隆法氏死去」を報じている時点で、教団や大川氏個人のホームページには、何ら報告や変更が掲載されていなかった。この危機管理の未熟さこそ、実は後継者ルールがなかった(機能しなかった)何よりの証拠と言える。
一方、資産はほとんど教団名義で「大川氏個人のものは印税くらいしかないのでは」というのが、国税関係者の見立てである点を付け加えておこう。
(ジャーナリスト・山田直樹)
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