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ゼレンスキー大統領が警告!中国とロシアの軍事同盟は“世界大戦”になる可能性も…

Shag 7799
(画像)Shag 7799/Shutterstock

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから2月24日で1年が経過し、戦況に重大な変化が生じている。ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用もちらつかせつつ、中国の習近平政権に接近しており、米国を中心とした西側諸国と中ロの対立は「世界大戦」前夜の状況となってきた。

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2月21日、モスクワで連邦議会への年次報告演説を行ったプーチン大統領は、「戦場でロシアに勝つことはできない」と述べてウクライナへの侵攻継続を強調。米国との核軍縮合意、新START(新戦略兵器削減条約)の履行を停止するとして、「すべては米国のせいだ」とののしった。

その前日、米国のバイデン大統領はウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談していた。バイデン氏の挑発に、プーチン氏が核兵器の使用を示唆することで反撃した形だ。

米ロ関係をめぐっては、きな臭い動きがある。2022年9月、ロシアからバルト海経由でドイツに天然ガスを運ぶ海底パイプライン『ノルドストリーム』が破壊された。水深約70メートルの海底で発生した前例のないガス漏れについては、ロシア側の自作自演説もささやかれていた。

それが今年2月になって、スパイ映画も顔負けの「米政府の犯行説」が報じられたのだ。この暴露記事を自身のブログに書いたシーモア・ハーシュ氏は、85歳のベテラン報道記者。ベトナム戦争中に起きた「ソンミ村虐殺事件」のスクープでピューリッツァー賞を受賞し、イラク戦争中にはアブグレイブ刑務所での米軍による捕虜虐待をスクープしたことでも知られる。

ウクライナでも懸念される武器の横流し

記事によれば、ウクライナ侵攻から約4カ月後の2022年6月、バイデン政権はパイプラインの破壊を計画し、NATO(北大西洋条約機構)の軍事演習に紛れて米海軍のダイバーにC4爆薬を取り付けさせた。当初は48時間後に爆破する予定だったが、バイデン氏からの指示を受けて爆破する方法に変更。そして同年9月、遠隔操作によって計4本のパイプラインのうち3本を爆破したという。

米政府は当然ながら「完全な作り話だ」と全面否定しているが、ロシア側は爆発に関する問題を国連安全保障理事会で協議するよう求めており、大ごとにしたい様子だ。

米国はロシアによる侵攻が始まって以降、ウクライナに1年で計293億ドル(約4兆円)の軍事支援を行い、ロケット弾やドローンなどを供与してきたが、ロシア領土に攻め込めるような長距離弾や最新鋭の兵器については出し渋っていた。ようやく1月に戦車の供与を決めたが、戦闘機については現在も後ろ向きだ。

「ウクライナはロシアに立ち向かう勇敢さがある半面、汚職がまん延している国でもある。兵器などの支援も横流しが懸念されることから、米政府としては最新兵器の供与には慎重な姿勢だ。そして、米国が前面に出ることで、ロシアと戦うような事態は何としても避ける方針だと思われていた」(軍事ジャーナリスト)

これまで「銃後の支え」に徹してきたかのように見えた米国が、実際はパイプライン破壊工作における真犯人だった場合、ウクライナ侵攻をめぐる構図は大きく変わってくる。

「バイデン政権は火消しに懸命だが、パイプライン問題はロシアに、NATOやその中心国である米国を攻撃対象とする大義名分を与えてしまう。米国が中国の偵察気球を撃墜して大騒ぎしたのも、事実上、ウクライナに参戦していた事実から目をそらせるためではないかとの見方がある」(同)

中国がロシアの後ろ盾に…

在モスクワの米国大使館は2月に入って、ロシアに滞在する自国民に即時出国するよう勧告した。

一方、米アラスカ州の上空では、ロシアの長距離爆撃機『ツポレフ95』や戦闘機『スホイ35』などが、2月13、14日と2日連続で威嚇飛行を繰り返した。アラスカは19世紀後半までロシア帝国の領土で、財政難のため米国に売却した経緯がある。そのためロシア国内では、「アラスカ奪還論」を唱える強硬派もいるほどだ。

意気盛んなプーチン氏だが、現実に目を向けると戦況は芳しくない。英国防省は、ウクライナ侵攻以降のロシア側の死傷者は最大20万人、うち戦死者は最大6万人だと推定している。また、主力戦車も侵攻1年で半数を失ったとされる。

窮地に立たされたプーチン氏に手を差し伸べるとすれば、中国の習近平国家主席しかいない。米メディアは習氏が5月にもロシアを訪れ、首脳会談を計画していると報じた。習氏の目的については「和平交渉を後押しする狙い」「核兵器不使用の重要性も強調する」など、まるで正義の使者のように伝えられているが、中国がロシアに殺傷能力の高い武器を供与するとの見方は根強い。

「西側諸国から経済制裁を受けているロシアは、中国に天然ガスなどを買ってもらって糊口をしのいでいる。この〝土下座外交〟によって中国が後ろ盾となり、事実上の軍事同盟を結ぶ可能性もあるが、ともすれば中国によるロシアの属国化が進むだろう」(ロシア・ウオッチャー)

ゼレンスキー氏は「中ロが組めば世界大戦になる可能性がある。中国も分かっているはずだ」と警告する。不測の事態がいつ起きてもおかしくない。

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