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ルノーが日産株引き下げ“対等な資本関係”で合意…狙いは次世代EV戦略か

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(画像)nitpicker/Shutterstock

日産自動車(以下、日産)の筆頭株主であるフランスのルノーが、持ち株比率を現在の43%から15%に引き下げ、日産が持つルノー株と同じ比率にすることを発表。これにより、提携関係が実質対等となることが波紋を呼んでいる。

両社の提携は1999年に経営危機に陥った日産をルノーが傘下に入れる形で救済したことから始まった。2016年には三菱自動車が加わり、日産・ルノー・三菱の日仏3社連合に発展。18年以降はグループの世界新車販売台数がトヨタ自動車、フォルクスワーゲングループに次いで3位を堅持していたが、昨年は韓国の現代自動車グループにも抜かれ4位に甘んじたほどだ。

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「そのため、ルノーにはまったくうまみのない不平等な資本関係の見直しが発表されたことに、自動車業界からは驚きの声が上がっている。『狙いが聞きたい!』と眉をひそめる株主もいるほどです」(業界関係者)

EV新会社への出資

ただし、その一方では「今回の提携見直しこそが、ルノー・日産グループの未来を開くカギ」と評する声もある。自動車評論家が言う。

「それが持ち株比率の対等化と同様に注目されている、ルノーの電気自動車新会社『アンペア』に日産が出資するという条項です。ルノーは目先の販売台数よりも、グループとしてEVシフトに備えることを選択。将来に向けた事業再建策を推し進めたのです」

今や、自動車業界はガソリン車、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCV)など動力の異なる車が増え続け、現在販売台数が好調でも、それが未来に繋がる保証はない。そのため、ルノーは日産を巻き込んだ新たなEVシフトに舵を切ったというわけだ。

果たして、この決断が近い将来、同社に躍進をもたらすかが見ものだ。

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