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『キジハタ』静岡県静岡市/清水港産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

新年ということで静岡県の三保海岸から雄大な富士山を眺めつつ、気持ち良く竿を振ることができた前回。釣果の方はポツポツとシロギスが釣れはしたものの、今の季節によくある西の強風が吹き始めたことで納竿。まだ夕方前だし、どこかでもうちょっとやりたいな…と考えたときに、朝方に見た水上バス乗り場付近の清水港奥の岸壁が頭に浮かびました。せっかくだし、あそこでやってみるか…と、一旦、清水の市街に戻ることにします。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

今日は大潮で満潮は18時すぎ。港奥という立地を考えると「大潮」「日没後」「満潮」というすべての条件が揃う17時〜19時、引っ張っても20時くらいまでがゴールデンタイム。この2〜3時間の釣りに集中するために、今は時間調整も兼ねてちょっと休憩にしましょう。昭和の雰囲気が残るアーケード街〝清水駅前銀座商店街〟をブラつき、遅い昼食とコーヒー&一服をするべく喫茶店〝ボンヌール〟に入ります。

冷凍マグロの水揚げ日本一を誇る清水。船員や荷役の作業員など水産関係者が利用したであろう、街中に数軒ある喫茶店はどこもクオリティが高く、このボンヌールもそういった中の1軒です。昭和40年代の雰囲気を色濃く残す2階店舗の窓際席から、アーケードを行く人々を眺めつつ、極めて美味なドリアで腹ごしらえ。食後に旨いコーヒーでのんびりと一服タイムを楽しむうちに、ぼちぼち良い時間となってまいりました。さて、そろそろ出撃しますか…。

冴えない岸壁で大物ヒット!?

清水駅を西口から東口に抜け、階段を下りた目の前が釣り場です。港の一番奥に位置する冴えない岸壁ながら、港口からストレートで当たる潮と、満潮を迎えて揺らめく水面は、何かを感じさせるものがあります。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

早速、安物の短い竿に胴突仕掛けを結び、エサのアオイソメを付けて岸壁際に仕掛けを落とします。ゆっくりと探っていくと、ほどなくゴツゴツッとアタリが出て15センチほどのカサゴがハリ掛かり。やはり魚影は濃いようで、その後も飽きない程度にカサゴがヒット。ただ型はいずれも15センチ級を主体に、大きくても20センチ弱と期待したほどではありません。大きい物から釣れてくるカサゴですから、こんなショボいポイントでも誰かしら竿を出しているのかもしれません。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

とはいえ、クエやハタも釣れる清水港。こんな奥まった場所でも万が一の可能性は捨てきれず、淡い期待を胸に探り続けます。加えて、こんな港奥なのに足下は意外とガチガチで、真下の釣りにもかかわらず油断をすると根掛かりをする高低差があります。障害物が多いということは、それらに潜むカサゴはもちろん、ハタ類も同様。小ぶりなカサゴをリリースしつつ「次こそはっ」と釣るうちにガツンッ! と、ひと際力強いアタリが出ました。そのまま仕掛けを止めて待つと、フワァ〜と食い上げ。ここで合わせると一気に竿が絞り込まれます。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

カサゴにせよハタにせよ、根に潜り込まれたらおしまいですから、細仕掛けを心配しつつも竿を立て、一発目の抵抗をやりすごします。今までのカサゴとは明らかに違う力強さと重量感。底を切ってからは右下、左下と走りながら下に突っ込む手応えに慎重なやりとりで対応します。なにせ仕掛けが細いので、「切れるなよっ」と祈りながら強気に魚を浮かせると、ヘッドライトに照らされた水面に現れたのは…キジハタです。

高級魚に満足記憶も肴に一杯

今日はサーフ(海岸)からの釣りの予定だったため玉網の用意はなく、どうしたものかと悩みましたが、幸い満潮で水面はかなり高く、なんとか手が届きそうです。岸壁に腹這いになり、波で上下するタイミングに合わせてハタの大きな口に親指を突っ込んで無事確保。30センチほどと、大物と言うにははばかられる大きさではありますが、久しぶりにシビれる1尾に大満足。これにて納竿です。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

帰宅後は姿造りにして釣れたときのことを思い出しつつ、キジハタと記憶を肴に晩酌です。高級魚のハタ類の中でも上位に位置し、この魚をアコウと呼ぶ関西では、とりわけ超高級魚とされるキジハタ。ほどよく脂乗りの感じられる上品な白身は激ウマで、清水の銘酒〝純米吟醸臥龍梅〟との相性も抜群。

良型カサゴ、あわよくばハタ類を、と竿を出した冴えない岸壁でしたが、まさか本当にハタ類、しかもキジハタが釣れるとは…。やはり気になった所はやってみるものだ、と改めて思えた釣行となったのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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