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日本列島を『炎の輪』が襲う!? 令和の超巨大地震は大噴火と同時に発生か

(画像)Roman Samborskyi / shutterstock

高知県室戸岬近くにある室津港は、過去に起きた南海トラフ地震の前後で地盤が隆起と沈降を繰り返すのが常だった。

そのため江戸時代の地元漁師たちは、港の水深を測る習慣があったという。地震後の隆起の大きさと次の地震発生までの期間に、相関関係があることが分かっていたからだ。

ひときわ被害が大きかった、1707年の宝永地震後の数値は1.8メートル、1854年に発生した安政南海地震では1.2メートル、1946年の昭和南海地震では1.15メートルも隆起していた。

科学ライターが言う。

「岩盤がこすれ合い、限界に達した陸地側のプレートがたわんで跳ね返る。地震はその衝撃で起きるのです。隆起は跳ね返ったプレート幅で、その後起きる沈降は次の地震へのステップと言えるが、室津港の隆起は宝永地震が1.8メートルで147年、安政南海地震が1.2メートルで92年のインターバルがあった。我々が経験することになる令和の南海トラフ地震の想定日は、計算式から求めると2035年、前後5年ほどとなります」

この言葉を信じれば、次の地震が起きるまでに少なくとも7年、長くて17年の猶予がありそうだが、胸を撫で下ろすのはまだ早いようだ。

プレートに振動が伝われば…

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。

「その予想は誤りです。実は室津港は江戸時代に工事されており、データをそのまま信用することができないんです。しかもフィリピン海プレートは長さ3000キロ程度と小さいためストレスが溜まりやすく、解放されると振動が伝わりやすい。私は想定日よりも早く、ひょっとすると2020年代に起こるかもしれないと考えています」

島村氏によると、次の南海トラフ地震はフィリピン海プレート上で発生した地震に誘発されて起きる可能性もあるという。例えば、昨年9月の台湾大地震から1カ月足らずで宮崎県で震度5の地震が起きたが、同じことが起きる確率も高いのだ。島村氏が続ける。

「宝永地震は巨大地震でしたが、発生から49日後に富士山が噴火した。これはプレートに振動が伝わりやすい証拠で、次の南海トラフ地震も富士山の噴火に警戒すべきです。それと昭和の南海トラフ地震はやや小ぶりだったため、次は超巨大となる公算が大なのです」

つまり、東海・東南海・南海の3つの震源域が同時に揺れる連動型となることが予測されているのだが、これは過去のデータが物語っているのである。

科学雑誌の記者が語る。

「南海トラフ地震の歴史をひも解くと多少の時間差はあるものの、3回に一度は3つの震源域が同時に揺れる連動型だったことが分かる。宝永地震はその典型です。また、安政南海地震はまず東海地方で地震が発生し、32時間後に南海地方の震源域が動いたのです」

ちなみに、こうした地震の連動は我が国に限ったことではないという。太平洋には「環太平洋造山帯」と呼ばれる火山帯があるが、これが近年、活発化しているといわれているのだ。前出の科学ライターが指摘する。

「環太平洋造山帯は『炎の輪』とも呼ばれ、大規模な噴火と大地震が同時に起きることがある。一例を挙げると、2016年4月に起きた熊本地震の翌日に、北米と南米の3つの火山が同時に噴火している。噴火したビジャリカ山(チリ)、コリマ山(メキシコ)、クリーブランド山(米アラスカ州)は、炎の輪の上にあるのです」

トンガも南海トラフ地震につながる!?

南米エクアドルでも熊本地震と同じ日に、マグニチュード(M)7.8の巨大地震が発生。661人もの死者が出ている。

また、昨年1月には南太平洋トンガ沖の海底にあるフンガトンガ・フンガハアパイ火山が観測史上最大の噴火を起こした。噴煙の高さは57キロに達し、世界中に津波をもたらしたほどだ。

科学ライターが続ける。

「大規模な噴火と大地震が同時に起こる炎の輪のルールに従えば、近い将来、トンガの海底火山が誘発した地震が起きる可能性も高い。危ぶまれるのが南海トラフと首都直下地震なのです。2つともフィリピン海プレート上で起こる地震だが、昨年11月には皆既月食があり、強い月の引力で剥がされたプレートが限界までたわんでいると考えられている。いつ地震が起きてもおかしくない状況なのです」

実際、ここにきて不気味な現象も起きている。昨年12月18日、日向灘を震源とするM5.4震度4深さ30キロの地震が発生したが、これが南海トラフ地震の予兆と勘ぐる声も上がっているのだ。

前出の科学雑誌の記者が言う。

「この日向灘は南海トラフの西の端に当たるが、ここ数年、有感地震が多発している。また、南東部のプレート境界部分では、揺れを感じないスロー地震が活発化しているのです。日向灘北部は昭和南海地震の震源域にも近く、もしここが大きく揺れれば南海トラフ地震につながりかねない」

もっとも、前出の島村氏はこうした指摘に警戒感を示す。

「環太平洋造山帯が活性化しているのは事実ですが、太平洋プレートは長さ1万キロの大きなプレートです。今の地震学では振動の伝わりやすさも分かっていない。それを考えれば、トンガの海底火山噴火で、南海トラフ地震が起こるというのは、少し飛躍し過ぎかもしれません」

とはいえ、超巨大地震が迫っていることは間違いない事実。十分な警戒が必要なのだ。

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