昨年の夏に公開されたディズニー・ピクサーの映画『バズ・ライトイヤー』が、「女性同士のキスシーンが含まれている」ことを理由に、中東やアジアの複数の国で公開されなかったことが話題になった。
宗教上の理由などから、LGBTQ+(性的少数者)を認めていない国では公開できなかったのだ。
「LGBTQ+に理解のある国でも、性的な自認が芽生える前の児童も楽しめる作品に、あえてそうした表現を入れることが適切かどうかの議論もあります」(ネットライター)
また、アメリカンコミックの代名詞である『スーパーマン』も、最新のシリーズで主人公のジョン・ケントがバイセクシュアル(両性愛者)として描かれている。
ジョンは、元祖スーパーマンのクラーク・ケントを父に、女性記者ロイス・レインを母に持つ「クリプトン人」と「人間」のハーフ。そんなジョンが、男性の記者で日系人のジェイ・ナカムラと恋に落ちる設定になっている。
北九州市が挑戦した短編アニメ
「他にも、DCコミックスの『アクアマン』には、黒人で同性愛者のスーパーヒーローが登場。マーベルコミックでも、『キャプテン・アメリカ』シリーズに、初となる同性愛者の主人公が登場します。あの『バットマン』の相棒ロビンも、最新シリーズではバイセクシュアルであることをカミングアウト。アメリカ発の作品で、こうした試みが加速しています」(同・ライター)
しかし、フロリダ州では〝性自認の議論から子どもを遠ざける法案〟が成立。ディズニーが、ピクサー作品の『私ときどきレッサーパンダ』で同性同士の恋愛表現をカットして物議を醸した。
前出のネットライターが続ける。
「私にも、小学校低学年の娘がいますが、こうした作品が増え、娘から『どうして女性同士でキスしているの?』などと尋ねられても、うまく説明する自信がありません。私個人としては、どちらかと言えばフロリダ州の考えに近い。特に、LGBTQ+を子どもたちにどう伝えるかがまだ明確になっていないどころか、性教育自体が遅れている日本のような国では、保護者は頭を抱える問題だと思います」
実は、日本らしいやり方で子どもたちにLGBTQ+を伝える試みも行われている。
北九州市が、子どもたちに向けてLGBTQ+に対する考え方を示した3部作の短編アニメーション動画を作成しているのだ。
「市人権推進センターのゆるキャラや、心と体の性が異なるトランスジェンダーの〝オオカミちゃん〟を使い、うまく表現しています。いきなり既存のアニメ作品などにLGBTQ+の描写を入れるより、こうした表現の方が、日本人の保護者は受け入れられる可能性が高い」(同・ライター)
同市は、約3年かけて関係者などを取材。その中には、「小学校高学年ごろから性自認に違和感を持った」という話もあったという。避けては通れない問題だけに、今後も議論が必要だ。
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