価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)不足により、「町の薬局に薬がない」異常事態が発生している。
医療機関でジェネリック医薬品が品薄になっている問題で、『日本製薬団体連合会』(日薬連)は12月5日、8月末時点で4234品目(全体の28%)が供給不足に陥っているとの調査結果を発表した。これは前年の3143品目から1091品目も増えた格好だ。
「『日薬連』が9月から約1カ月間行ったアンケートは、製薬会社223社から回答を得た。それによると、医療用薬品1万5036品目のうち『出荷停止』は1099品目(7%)。すべての受注に対応できない『限定出荷』は、3135品目(21%)。このうち後発薬が9割を占めており、薬不足は深刻です」(薬剤師)
度重なる不祥事がきっかけ
ジェネリック医薬品不足は、2020年12月に後発薬品メーカー『小林化工』が製造した水虫などの真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、全国で240人以上の健康被害と2人の死者を出したことが発端。
「その後、ジェネリック医薬品大手の『日医工』が2020年から21年にかけて合計75品目の製品について承認書に記載がない工程で製造を行っていたとして自主回収。『日医工』は、品質試験が不適合な製品も適合品として処理するなどの法令違反を黙認していたんです」(メディカルライター)
度重なる不祥事により、ジェネリック医薬品メーカーで作る『日本ジェネリック製薬協会』は各メーカーに自主点検を呼び掛けた。すると、複数のメーカーから似たような問題が見つかり、出荷停止や生産調整で製造が大幅に遅れ、薬不足が社会問題化したのである。
『日医工』の全品目の生産再開は、23年秋以降。薬価が安い薬不足の防衛策は、自らの健康管理を徹底するしかない。
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