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節電要請で“ヒートショック”死亡者が急増!? 「高温の長風呂」は禁物

Roman Samborskyi
(画像)Roman Samborskyi/Shutterstock

映画『男はつらいよ』シリーズで渥美清演じる主人公の寅さんを支えた〝源公〟役の俳優・佐藤蛾次郎さんが12月10日、自宅の浴室で死亡した。死因は虚血性心不全。78歳だった。

「蛾次郎さんは湯船に浸かった状態で死亡が確認されたため、原因はヒートショックと見られています」(スポーツ紙記者)

毎年、冬本場を迎えると、ヒートショックで死亡する高齢者が続出している。今年はロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー不足と円安により、光熱費が高騰。さらに、政府からの節電要請でヒートショックの死亡者の急増が懸念されていた。

「寒さのピークを迎える1月が心配されていますよ」(医療ジャーナリスト)

厚生労働省の人口動態統計によると、2021年に家庭の浴槽内で溺死した高齢者(65歳以上)は4750人。この数字は交通事故死亡者数(2021年=2150人)の2倍以上に上るほど。

心疾患がなくても気をつけるべき

ヒートショックは、気温の急激な変化で血圧が上下に変動することによって起こる健康被害のこと。寒暖差の激しい場所に移動した際が危険とされ、不整脈、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす恐れがある。

「ヒートショックリスクが高い人は、心疾患の方はもちろんのこと、肥満、糖尿病、高血圧を指摘されたことがある方、65歳以上の方などです。洋室や脱衣所、トイレに暖房設備がない、お風呂のお湯の設定温度を高くしている家庭や施設でもリスクは高くなります」(都内のクリニック内科医)

ヒートショック対策を呼びかけているプロジェクトスタッフがこう語る。

「入浴する前に脱衣所などは温めておくこと。浴室は浴槽にお湯を張りながらフタを開けておくと、湯気が行き渡って温かくなります。シャワーで床にお湯をかけるだけでも、足元の冷えを抑えることはできますよ。お湯の温度は41度以下に設定し、湯船に浸かる時間は10分以内。くれぐれも、高温の長風呂は禁物です」

世の中はサウナブーム。サウナ後の水風呂は爽快だが、ヒートショックのリスクを抱える人は要注意!

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