2場所前の大相撲秋場所では、御嶽海がたった4場所で大関の座から転げ落ち、先の九州場所ではカド番大関の正代も陥落。わずか3カ月あまりの間に3人いた大関のうち、2人がいなくなる異常事態。
残る大関は貴景勝だけ。1人横綱の照ノ富士も2場所連続休場中で、復帰のメドすら立っていない有り様だ。
こんな危機的な状況の中、12月26日に発表される初場所の番付では横綱が照ノ富士1人、大関が貴景勝だけの1横綱1大関が確実だ。こんなことは明治31(1898)年の春場所以来、実に125年ぶりで、発売される新番付はまさに超珍品になる。
大相撲界のスター不足を象徴する出来事だが、日本相撲協会はこの大ピンチをクリアする妙手を打ち出した。九州場所後の横綱審議委員会で、九州場所の優勝決定巴戦で阿炎に敗れ、優勝できなかった貴景勝を準優勝者とみなし、「初場所、ハイレベルな成績で優勝すれば、横綱昇進もあり得る」という方針を打ち出したのだ。
横綱も大関もいない時代が訪れる?
ただ、貴景勝が横綱に昇進すると大関はゼロになる。
「番付編成上、東西の大関は欠かせない存在。もし、どちらかでも不在になれば、1つ上の横綱が大関を兼務して、横綱大関という名前で番付に載る。これは決して珍しいことではなく、最近では令和2年の春場所に鶴竜が横綱大関になっていますが、大関がゼロというのは非常に珍しく、明治時代と昭和56年の春場所の2回だけです」(担当記者)
果たして、その可能性はどのくらいあるのか。
「以前なら、裏でいくらでも手を打てたが、ガチンコ時代ではそうもいかない。協会は貴景勝の横綱昇進を期待しているようだが、取りこぼしが多いだけに相当厳しい。ケガも多いし、むしろ大関から陥落する可能性のほうが高いのでは。下から這い上がって来る次期大関候補も見当たらない。呼び声の高かった関脇の若隆景も、先場所は8勝止まりだしね。豊昇龍もまだ時間がかかりそうだ」(元力士)
横綱、大関のいない時代が訪れそうだ。
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