サッカーワールドカップ(W杯)で、ドイツとスペインを破った日本代表と同様に、評価を上げたのがインターネットテレビ局のABEMAだ。
「今回のW杯では、全64試合無料生中継を行っているABEMAが完全に一人勝ち状態。スペイン戦は驚異の2000万以上の再生となり、単純計算でもフジテレビを超える視聴回数になっています」(他局のスタッフ)
ABEMAは、IT広告業界の寵児・藤田晋社長が率いるサイバーエージェントとテレビ朝日が共同で出資して立ち上げたサービスだ。
「今回のW杯中継は、サッカー代表戦中継で百戦錬磨のテレ朝スタッフがメインで制作していて、クオリティーが高い番組作りも評価されています。スマホやタブレットでどこでも見られる利点を最大限に生かし、選手データを簡単に確認できるようにしたり、字幕や解説もしっかりしている。元日本代表の本田圭佑の実況も話題となり、もはやテレビでワールドカップを見ているのはシニア層くらいしかいないと言われています」(同・スタッフ)
「NHKはいらない、ABEMAで十分」
ABEMAがFIFAに対して払った放映権料は200億円と噂されているが、W杯を機に視聴者を根付かせようとする戦略も展開している。
「11月27日に配信したお笑いコンビ・千鳥が司会を務める『ABEMAチャンスの時間』に、アンジャッシュの渡部建を出演させるなど、日本代表の後半のような攻めの姿勢を見せています。長く番組を担当している『新しい地図』の新企画なども検討しているようで、今後はさらに猛攻を仕掛け、視聴者をテレビから奪い取ろうとしている」(放送担当記者)
これを脅威に感じているのがNHKだという。ABEMAは基本無料だが、月額960円でPPVなどをのぞくほとんど全てのコンテンツを見ることができるプレミアムプランがある。
「若い世代にはNHKの受信料を払うより、ABEMAに登録したほうがお得という考えが広がっているようです。ツイッターでは《NHKはいらない、ABEMAで十分》という声が日増しに高まっており、NHKの受信料が高いことが再認識されることにもつながっています」(同・記者)
〝新しい未来のテレビ〟を作ると宣言してスタートしたABEMAの旗振り役である藤田社長は勝負師として知られる。200億円を投じた今回のW杯全試合無料放送というギャンブルにも完全勝利した格好だ。
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